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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

人間ドックや健診、かえって害?治療不要の病気まで指摘で不幸に?余命延長に無効?

文=新見正則/医学博士、医師
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人間ドックや健診、かえって害?治療不要の病気まで指摘で不幸に?余命延長に無効?の画像1「Thinkstock」より

 今回は、健診人間ドックについて語り合っています。“極論君”は、「完璧なまでに、できることはなんでもチェックして、そして健康維持に努める。つまり、人間ドックのオプションは全部お願いするし、年に数回行う検査もある」という主張です。

 一方で、“非常識君”は「検査は基本的にやらない。基本的というのは会社などで法律によって定められているものは致し方ない。でもそれ以外の検査や人間ドックはやらない。調子が悪くなったときはいち早く医者に診てもらう」という考え方です。

 非常識君の意見の根拠は以下の通りです。昨今の日本人の平均寿命は、男性が80.5歳、女性が86.8歳なので、80歳以上で元気な人はたくさんいる。戦後すぐ、昭和22年の平均寿命は男性が50.06歳、女性が53.96歳だから、平均寿命はこの70年間で30年近く延びたことになる。

 ところが、人間ドックや健診を積極的に行うようになったのはごく最近だ。昭和の頃はほとんど人間ドックなどを行っていない。実際に周りにいる80歳以上で元気な人に聞いてみると、ほとんどの人は人間ドックを受けていない。つまり、「人間ドックにはそんなに必要性を感じない」「何かあれば医師に受診すればいい」といった主張です。

 確かにそうですね。現在までの平均寿命の延長には、やはり予防医学よりも感染症の克服や、衛生環境、栄養環境の改善が重要な要素を占めているように思えます。

 一方で、“極論君”は次のように主張します。

「医療は日進月歩で、どんどん進歩している。診断技術も同様に進歩している。今、最新の技術で病気を未然に防げれば、100歳以上まで病気をせずに元気でいられるかもしれない。ともかくそんなことを夢見て検査を受けるのだ」

 確かにそうかもしれません。これ以上の平均寿命の延長にどの程度人間ドックが重要かは、数十年後にその真偽が判明するでしょう。

異常を指摘された人の90%は「問題なし」

 そこで、“常識君”がこうコメントします。

「検査技術が進歩していろいろな病気が早期発見できるようになった。そしてこれからも早期発見できるでしょう。でも、その早期発見がかならず余命の延長に有効とは限らない。将来的に問題ないものまで、異常の可能性があると指摘することもあるでしょう。いかがですか」

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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