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自衛隊の演習場、隊員たち「やりたい放題」で無法状態?フェンスなく子供が6日間迷子

文=編集部
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自衛隊の演習場、隊員たち「やりたい放題」で無法状態?フェンスなく子供が6日間迷子の画像1駒ヶ岳演習場の入口(出典:google map)

 6月3日、行方不明になっていた北海道北斗市の小学2年生、田野岡大和くんが6日ぶりに発見されたニュースに、日本中が安堵した。

 大和くんの無事はもちろん喜ばしいことではあったが、発見された場所が陸上自衛隊の演習場だったことが明らかとなり、警備が厳重な自衛隊施設に小学2年生が簡単に入り込めるのかという疑問が広まった。

「自衛隊の演習場の敷地には外周のフェンスもなく、間違って入り込んでしまう可能性は大いにありますよ。自衛隊の施設は、陸上自衛隊の駐屯地と海上・航空自衛隊の基地、そして演習場の大きく2つに分けられます。陸自部隊の場合、有事に移動した先々が作戦行動の拠点となるため、平時に一時的に駐在しているという意味で『駐屯地(station)』という言葉が用いられています。

 一方で海空自は、艦艇と航空機が活動するためには常設的な施設が必要となるため、『基地(base)』と呼ばれるのです。この駐屯地・基地は47都道府県すべてに置かれているため、実際に目にしたことのある人は多いのではないでしょうか。

 そして、もうひとつの自衛隊施設である演習場は、主に陸自が訓練や演習を行う施設になります。施設といっても、実際のところはだだっ広い原野というイメージです」(北海道に勤務する陸上自衛官)

演習場内で住民が山菜採り

 大和くんが発見された駒ヶ岳演習場(北海道鹿部町)は、函館本線の鹿部駅とゴルフ場に隣接し、普段は函館市に駐屯する第28普通科連隊が訓練で使用している。そして、駒ヶ岳演習場もほかに同じく、やはり原野に近い、誰もが自由に立ち入れるような状態にあったという。

「自分は駒ヶ岳演習場には行ったことがないのですが、あそこは函館の部隊が日常的に訓練する小さな演習場です。まあ、小さいとはいっても、ゴルフ場がゆうに10個近くは入る大きさですが。

 演習場というのは、よほど市街地に近い場所でない限りは基本的にはフェンスもなく、誰でも自由に入れてしまうのです。一応、立入禁止の看板はあるのですが、付近に住んでいる住民が山菜を採りに来たり、サバイバルゲームをやっている人々が勝手に忍び込んだりなどは日常茶飯事。こんな状態ですから、大和くんも森の中を歩いているうちに、誤って演習場に入ったのでしょう。

 ちなみに、大和くんが発見された廠舎(しょうしゃ)は、演習場に入った隊員が寝起きするところで、真ん中に土間の通路があり、その両側は板ばりになっています。演習中はそこにスリーピング(寝袋)を敷いて寝起きするのです。本来廠舎には鍵が掛かっているので、大和くんは運が良かったと思います」(同)

現代日本に残された秘境

 陸上自衛隊演習場の多くは国有地だが、民有地を国が貸借しているところも少なくない。また、旧軍や自衛隊の演習場となる前から、地域住民が生活に必要な薪や野草、薬草、キノコなどを採取していたことから、もともと地域住民の入会権が認められているところもある。このような法的・歴史的な経緯に加え、駐屯地と違って防護する武器や弾薬、施設がないことから、演習場は外周のフェンスすらなく、入口のゲートしかないところが多いのだ。しかも、そのゲートですら、立入禁止の看板と車両止めがある程度なので、入ろうと思えば誰でも入れてしまう。

 そして、こんな演習場を陸上自衛官たちは愛着を込めて「ヤマ」と呼ぶが、このヤマこそが、実は現代日本に残された秘境なのだという。

「話は脱線してしまうかもしれませんが、演習場は基本的に陸上自衛官しか立ち入らないし、草木や動物もほとんど手付かずで、まさに自然の宝庫なのですよ。野営していると、キノコの山を発見して夕食はキノコ汁に変更などということもありますし、なかには松茸を採って戻ってくる隊員もいます。もちろん、松茸を見つけた隊員は、誰もその場所を明かしませんが。そういえば、自力で温泉を掘り当てて、演習場内に露天風呂をつくってしまった強者もいました。もちろん、無許可開発ということで閉鎖されましたけどね。

 まあ、そんな状態なので、演習場内では野生動物にもしょっちゅう出遭います。夜間の防御訓練中に蛸壺(身を潜めるために掘った穴)に入っていると、後方でガサガサと音がするので交代が来たのかと思ったら、クマの親子だったこともあります。今回、大和くんがそうした動物に遭遇せずに済んで、本当によかったですよ」(同)

 大和くんが6日間もひとりで無事に過ごせたのは、偶然にもほぼフリーパスで入れる演習場という施設があったからだ。しかし、本来は立入禁止の場所で、発見されたら「つまみ出される」(同)とのことなので、興味本位で近づかないに越したことはない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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