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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

それでも廃棄食品横流しは蔓延している…「ブラックホール化」する食品廃棄の闇

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト
それでも廃棄食品横流しは蔓延している…「ブラックホール化」する食品廃棄の闇の画像1「Thinkstock」より

 1月半ばの壱番屋廃棄カツ横流し事件から半年がすぎ、事件は早くも忘却の彼方へと葬り去られようとしている。しかし、事件を生む温床となったはずの産業構造の解明を進め、少しでもその改善を図ることなしには、類似事件の再発を防ぐことは難しい。“食の災害”もまた、忘れた頃にやってくる。今回は、食品偽装を生む産業構造の解明に迫る。

産廃業界をめぐる点と線

 一見して無味乾燥とも思える官公庁データだが、時に思いがけない重要なヒントを得られることもある。

 例えば、「平成23年(2011年)度産業廃棄物処理業実態調査業務報告書」(加藤商事株式会社、平成24年3月)だ。その表紙の上部には小さく、「平成23年度環境省請負事業」と書かれており、環境省が加藤商事に委託して作成した報告書のようだ。環境省HP上の環境省報道発表資料「産業廃棄物処理業実態調査結果について(お知らせ)」(13年3月25日)には、こう書かれている。

「産業廃棄物処理業界全体の様相を把握することを目的に環境省として、初めて実施した『産業廃棄物処理業実態調査』の結果についてとりまとめた」

 加藤商事(本社・東京都東村山市、1960年設立)は、46年に個人経営の清掃業からスタートした、いわば業界の老舗であり、資本金4050万円は企業として中堅クラスだ。同社は東京都や神奈川、埼玉、千葉各県などで産業廃棄物収集運搬業許可や、東京都で産業廃棄物処分業(中間処理)の許可などを取得している。これまで、経済産業省「インフラ・システム輸出促進調査等委託」のほか、環境省「沖縄県のリサイクル市場振興に向けた在日米軍基地廃棄物処理状況調査業務」などの実績がある。

片手間の中小・零細業者が多い

 肝心の報告書だが、調査対象(10年度)が約1万3400件(産業廃棄物処理業の許可件数。全許可件数約29万5100件のうちの約4.5%)で、うち有効回答数は約7600件。

 調査の結果、経営形態は全体の91.4%が会社組織だが、個人経営が6.1%もある。経営規模(資本金)では、租税特別措置法上、大企業とみなせる資本金1億円以上【編注1】の業者は全体の3.7%(資本金1~10億円3.0%、同10億円0.7%)にすぎない。同1000~5000万円が大半(60.3%)を占める上、同1000万円未満が28.3%(うち同500万円未満が16.3%)も存在する、中小・零細業界だ。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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