米アップルが26日発表した2016年4~6月期決算は、売上高が前年同期比14.6%減の423億5800万ドル(約4兆4300億円)、純利益が27.0%減の77億9600万ドル(約7952億円)だった。
スマートフォン「iPhone」の販売不振が響き、13年ぶりの減収となった1~3月期に続いて減収減益となった。
売上高の6割近くを占めるiPhoneの販売台数は前年同期比15%減の4039万台で、売り上げも23%落ち込んだ。タブレット型端末「iPad」の販売台数は9%減の995万台と9四半期連続で前年を下回った。
アップルは、2007年6月のiPhone発売以来大きく売上高を伸ばしてきたが、投資家の間ではiPhone市場は飽和状態になり、同社の急成長は終わりを告げたのではないかと懸念されている。
アップルは今年3月末に小型で低価格のiPhone SEを発売しているが、これは1~3月期決算には反映されていない。ルカ・マエストリCFO(最高財務責任者)は、「現在、全世界で供給が逼迫している。需要は非常に強い」と述べ、売り上げはさらに伸ばせると強調した。特に、新興国市場でiPhone SEの滑り出しが好調だという。
だが、IT市場の関係者らの見方は冷ややかだ。多くのiPhoneファンの間では、iPhone 6、iPhone 6s、iPhone 6s Plusと、いずれも評価は高くなかった。かつて、革新的な発明を次々に発表し、ファンを虜にしていたアップルはすっかり影を潜めた。
特に中国や米国の売り上げ減少は深刻だ。日本では根強いiPhoneファンが定期的に買い替えをしているので安定した需要があるが、世界的にみると、買い替えを促せていないのがもっとも大きな要因だろう。アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)も、「iPhone 5sの時と比べてiPhone 6sへのアップグレードはずっと少ない」と認めている。
年内にも発売されるといわれている次期iPhoneが、ファンの期待を上回るものでなければ、アップルの業績回復は難しいだろう。
水面下で進む自動運転車プロジェクト
一方でアップルは、かつてノートパソコン「MacBook Air」、デスクトップパソコン「iMac」、タブレット端末「iPad」など、同社を象徴するハードウエアの開発を統括したボブ・マンズフィールド氏を自動車開発プロジェクトの責任者に起用したようだ。