マンションで被災したときに住民は何をすべきか。日本は東日本大震災、熊本地震などを経験し、さらに将来は首都直下型地震や南海トラフ地震などの発生リスクが懸念されている。地震対策は一戸建て、マンションと居住形態によってそれぞれ異なり、固有の防災対策が注目されている。そうしたなか、マンション管理大手・大和ライフネクストは、マンションを取り巻く防災上の課題やリスクなどについて取り組んでいる。
地震に強いコミュニティづくりの大切さをテーマに講演活動を行っている同社マンション事業部事業開発部の丸山肇部長に聞いた。
――マンション居住者の防災対策を訴えていらっしゃいますね。
丸山肇部長(以下、丸山) 世の中にある防災マニュアルはほとんど一戸建ての住宅向けにつくられていますが、日本には分譲マンションだけでも約630万戸あり、これに賃貸マンションを加えると相当の数になります。住宅に占めるマンションの比率は東京では実に26%を超えています。当社はマンション管理事業を行っておりますが、その経験を生かしてマンションのための防災対策についての情報発信に取り組んでいます。
――マンションにおける防災とは具体的にはどんなことでしょうか。
――マンション住民の方々の関心は高まっていますか。
丸山 関心は高くなっていると思いますが、何をどう準備すればいいのか迷っていらっしゃるのも事実です。自宅での避難となる以上、住民同士による「共助」が不可欠です。マンションのコミュニティは災害時の強みになるものです。このため、日頃からマンションの住民同士のつながりをもとにした「近所力」を強めてゆくことが大切です。
震災発生時の備えで大事なこと
――その指針となる机上防災訓練ワークショップテキスト『マンションだから地震に強くなれる本』(大和ライフネクスト)をこの春、丸山さんらがまとめられました。