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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

集団発生が多発の麻疹、ワクチンの予防接種は無意味?どんどん麻疹に罹ったほうがいい?

文=新見正則/医学博士、医師
集団発生が多発の麻疹、ワクチンの予防接種は無意味?どんどん麻疹に罹ったほうがいい?の画像1「Thinkstock」より

 今回は、予防接種の話で盛り上がっています。麻疹が国内で発生しているからです。幕張メッセ(千葉)、立川(東京)でのアニメイベント、関西空港(大阪)とあちらこちらで集団発生しています。

 まず、“常識君”の解説です。

「麻疹は空気感染する病気で、麻疹ウイルスを含む小さな空気中に浮遊する粒子から感染します。鼻水、喉の痛み、咳などの風邪のような症状で発症します。これを『カタル期』と呼び、その後に発疹と高熱が生じます。潜伏期間は約10日で、その後のカタル期が最も感染力が強いといわれています。ですから、風邪と思って、ちょっと無理をして外出した人から感染することになります。麻疹ウイルスを直接殺す薬はないので、対症療法になります。基本は自分で治すということです。辛い症状を緩和するような治療しかないのです。ですから、麻疹ワクチンを接種して感染しにくい体をつくっておくことが、ひとつの大切な予防手段です」

 そこで、“極論君”が質問します。

「麻疹に感染した人の1~2割はワクチンを接種していると聞いたことがあります。なぜワクチンを打っても麻疹に感染するのですか?」

 常識君が答えます。

「麻疹ワクチンの1回接種では、5%の人は麻疹に対する免疫が成立しません。ですから、ワクチンを打っても感染する人が少なからずいます。そこで2006年からは2回接種になっています。ところが、2回麻疹ワクチンを打っても、感染することがあります。麻疹ワクチンは麻疹ウイルスの毒性を弱めた生ワクチンです。本当の麻疹ウイルスと比べれば、はるかに病原性が弱いがゆえに、実際に麻疹に罹ったときに得られる免疫力には及ばないし、また長続きもしません。しかし、麻疹の流行があれば、麻疹に暴露され免疫力が強化されることもありますが、まったく麻疹の流行がないと、そんな免疫力を強化する機会もなくなります。次第に麻疹の感染に耐えるだけの免疫力を維持している人が減少するのです。ですから、麻疹ワクチンを打っても感染する人がしばしば現れます」

やっぱり予防接種は受けたほうがいい?

 そして、極論君が持論を述べます。

「ワクチンを打っても感染するのであれば、麻疹が流行りだしたら、外出しないことが一番の感染防止策だ」

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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