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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

専門知識の終焉…プロ囲碁棋士に勝った人工知能(AI)、開発チームに囲碁プロ級おらず

文=湯之上隆/微細加工研究所所長

 つまり、いずれも人の選択であり、それゆえ矢野氏は「人と人の勝負だった」という見方をしたのである。そして、結果的に後者の選択をした人が勝った。これは、「未知の問題に(深層学習という)、コンピュータを使った対処法を体系的に構築することに尽力することが効果を上げたから」であると論じている。ルールさえわかっていれば、専門知識は問われない。

 矢野氏は、AI囲碁棋士の勝負を「機械(コンピュータ)と人間との勝負」と見ると、本質を見誤ると指摘している。その本質とは、「この碁のプログラムの開発者チームの中に、碁がプロ級に強い人はいないという事実である」ことに集約される。

 そして矢野氏は、「ビジネスでも同じことが起きつつある」と述べる。つまり、ビジネスにおいて従来のコンピュータやAIを利用するには、その対象となる分野の専門的知識が必要不可欠だった。ところが、深層学習という機能を備えたAIを利用すれば、その分野の専門知識はさほど必要ない。囲碁でいえば、そのルールさえわかっていればよく、「囲碁が強いかどうか」は関係ないということである。

 このロジックは、あらゆる技術、産業、それだけでなく芸術にも適用できる。たとえば、筆者が専門としている半導体の製造についても例外ではない。この続きは、次回「半導体プロセスの未来」で論じたい。
(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

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