今冬、インフルエンザやノロウイルスの流行が早く、医療機関は対応に追われている。
特にノロウイルスは大流行している。
12月14日付読売新聞によると、一医療機関の患者数が、11月28日から12月14日の2週間で17.37人に達した。これは昨年の同時期の3倍近くになる。
かつて、国立感染症研究所で感染症情報センター長を務め、現在は川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦医師に取材したことがある。ノロウイルスは、嘔吐や下痢を繰り返すお腹の風邪といわれており、大したことがないウイルスのような印象があるが岡部医師によれば、とんでもないという。
感染した人の吐しゃ物や下痢便などに含まれているノロウイルスに、基本的には直接接触することで感染する。ところが怖いのは、吐しゃ物などを完全に除去しないと、それが乾燥し、ホコリなどといっしょに舞い散り、それを吸い込むことでも感染する。空気感染もするのである。しかも、ごく少量のウイルスで感染する、感染力が極めて強いウイルスなのである。
一般的に食中毒のウイルスは75℃のお湯に1分間つけると殺菌できるが、ノロウイルスは85℃のお湯に1分間つけなければ死滅しない。ノロウイルスに感染したと思われる患者の吐しゃ物などには、大量のウイルスがいると考えられるので、それを処理する場合、マスクや使い捨ての手袋でしっかり防御をして、眼鏡をしていない人はゴーグルをつけ、吐しゃ物から出る飛沫を吸い込まないようにする。処理に当たる人以外は、3メートル以上遠ざかること。そして、吐しゃ物があったところは、塩素系の消毒剤や家庭用の漂白剤で広めに消毒すること。
感染拡大を防ぐ
汚れた衣類などは、必ずマスクと手袋をしてバケツなどで水洗いし、さらに塩素系消毒剤で消毒する。洗った後もさらに消毒しておく。ほかの衣類と洗濯機で洗ってはいけない。
ノロウイルスには特効薬はないので、できるだけ水分をとって安静に。吐き気止めや整腸剤は対症療法としては有効。下痢を起こすが、最初から下痢止めは使わないほうがいいようだ。