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トランプ、自ら生んだ差別意識に首を絞められる危険…米国内の分断が深刻化

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ドナルド・トランプ大統領就任に対するアメリカ国内の抗議デモの様子(写真:ロイター/アフロ)
 1月24日付記事『トランプ政権の2つの顔…最強ドリームチームで「損得勘定主義」鮮明に 「米国第一」でTPP復活も』では、アメリカのドナルド・トランプ大統領の政策や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のゆくえについて、経済ジャーナリストの財部誠一氏の話をお伝えした。


 後編では、トランプ政権の抱えるリスクなどについて、さらに財部氏の話をお伝えする。

トランプ大統領誕生の重要な歴史的意味とは


――トランプ大統領の政治経験のなさは不安材料とされていますが、一方で「これまでとはまったく違うやり方ができるのでは」という期待にもなっていますね。

財部誠一氏(以下、財部) トランプ氏は選挙キャンペーン中から数々の暴言や失言を繰り返し、大統領就任後も感情的なメディア批判を続けるなど、アメリカの大統領とは思えない品性下劣なキャラクターです。でも、そのキャラクターに引きずられるあまり、「自由貿易の旗を降ろす」と主張するアメリカ大統領が誕生したことの歴史的意味を見落としてはいけません。

 そもそも、アメリカ流の自由市場の考えが世界を席巻し始めたのは、米ソ冷戦が終わった1989年からです。ベルリンの壁が崩壊し、ソ連が消滅して以降のポスト冷戦期に、自由市場と民主主義の嵐が新興国に吹き荒れ、その恩恵にもっともあずかったのはアメリカでした。その間、政治的にはロシアと中国を管理下に置くことが、アメリカにとって最大の関心事でもありました。

 ところが、2008年のリーマン・ショックを境に世界の秩序は大きく変わり始めました。アメリカの影響力が低下する一方で、中国の国際的な存在感が高まり、プーチン大統領復活以降のロシアも、自由主義陣営には大きな脅威になってきました。こういった文脈のなかで、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」が生まれたという理解は欠かせないと思います。

トランプ氏が生んだ差別意識が政権のリスクに


――不法移民について、トランプ氏は過激な発言を繰り返し、さらに発展するかたちで宗教や人種、民族などの差別的な言動が目立ちました。

財部 アメリカ国内はもちろん、世界各地でトランプ大統領就任に対する抗議デモが起きたことは、彼の差別的な言動が、いかに多くの人を不快にさせたり不安に陥れたりしているかを物語っています。

 トランプ氏は、既存の政治家にはない過激さゆえに大統領になれた面もありますが、残した爪痕は大きすぎます。アメリカは多様性の国ですが、差別は厳然と存在していて、それを制度のなかに押し込んできたというのが現実です。

 差別はあるのだけど、「差別していい」なんて絶対に言ってはいけないし、公然と差別を許すことなどタブー中のタブーだというのが、アメリカのコモンセンスだったのです。それを、大統領自らがぶち壊してしまったのですから、収拾がつくはずがありません。

 日本のメディアの多くが、トランプ大統領の就任演説に「分断されたアメリカ国民を融和させることができるか」と期待しましたが、事態は演説ひとつでは収まるはずもないほど深刻化しています。これは、トランプ政権最大のリスクといえるでしょう。

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