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ADHD(注意欠如・多動症)患者、大人も子供も年々急増か

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「Thinkstock」より

 ADHDという言葉をご存じでしょうか。ADHDとは「注意欠如・多動症」の略で、文部科学省HP では「年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される」と定義されています。

 さらに、最近では、そういった症状が大人になっても改善せず、社会に適応できないといった状態を「大人のADHD」と呼んでいます。

ADHDのある子供が増えている背景

 2012年の文科省の調査データによると、ADHDの可能性がある子供の割合は2.5%となっています。たとえば、東京都教育委員会のデータでは、東京都の2015年度の公立小学校1292校の児童総数は56万2969人ですので、そのなかの1万4074人前後がADHDがあると考えられ、1校当たり約11人のADHDのある児童がいるという計算になります。

 また、同調査以後、さらに患者は増えているといわれています。実際、医療現場にいる筆者も、ADHDのある患者が子供、大人共に増えていると感じます。しかし、その一方で、疑問があるのも事実です。その疑問とは、ADHDの診断を安易に下す医師がいるのではないかということです。

「ADHD.co.jp」というADHDに関する情報サイトがありますが、自我の強い子や反抗期の子について悩んでいる親がこれを読むと、「もしかして、うちの子もADHDなのではないか」と心配になるかもしれません。もし、診察を受けるのであれば信頼できる医師を探してください。医師によっては確定診断までそれほどの時間を要さない場合もあるようです。

 あくまで私の意見ですが、本来なら確定診断を下す前に、親にも子にも可能な限り問題行動を改善するよう試みる時間を設けるべきだと思います。しかし、そういった試みに時間をかけない医者もいると、医療現場で感じるのです。

ADHD治療薬コンサータは魔法の薬か

 ADHDと確定診断された場合、処方される治療薬のひとつに「コンサータ」があります。コンサータは、その成分はメチルフェニデートという中枢神経刺激剤です。中枢神経刺激剤は、脳の中の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンを増やします。ADHDは脳の発達障害により、脳内のドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が不足することで起きると考えられています。コンサータを服用することで、脳内のドーパミンやノルアドレナリンを増やし、ADHDの症状を抑えます。

 コンサータを服用する患者のなかには、「飲むと仕事がはかどるので、仕事がある日は用量が多いほう、休みの日には用量が少ないほうを飲んでいます」と言う人がいます。私はその患者の言葉に非常に違和感を覚えます。同様に、ADHDのある中学生に薬を渡す機会があり、その母親から「テスト期間は、よく勉強できるので用量が高いコンサータを飲んでいます」という話を聞きました。

 服用するうちに、コンサータを飲んだら仕事や勉強がはかどるという事実に気づき、そもそもの服用目的が変わってしまっている患者がいることに危機感を持っています。

 ほかにも、「テスト勉強がはかどるから」という理由で、用量の多いコンサータを子供に飲ませている母親に数人遭遇したことがあります。その子供たちは、進学校に通うエリート予備軍でした。医師がそういった母親の希望を知って処方しているか否かは不明ですが、薬剤師としては、「コンサータは魔法の薬ではない」と伝えたいところです。

 コンサータを長期間継続服用している患者から、よく相談される内容のひとつに、「コンサータを服用しないと、ぼんやりした感じになる」という訴えがあります。薬の作用から考えると、服用しなければ脳内伝達物質が少ない状態に戻るわけですから、薬によって脳内伝達物質が活発に出ている状態に比べて、ぼんやりするのは当然といえます。コンサータを服用して仕事や勉強がはかどるとしても、その着地点には何があるのでしょうか。

 もしも、自分の子供にADHDがあるかもしれないと思ったら、受診する医療機関は1カ所ではなく、少なくともセカンドピニオンを聞くことをお勧めします。

 私が子供のころ、現在ならADHDがあると診断されかねない行動をとる子供がたくさんいたような記憶があります。たとえば、あるガキ大将は、観察日記をつけるために教室の後ろで飼っていたカエルを、授業中に教室に放してしまったことがありました。かくいう筆者も、忘れ物をする常習犯でした。

 しかし、そのような同級生もみんな立派に成長し、大人になっています。集団生活をするなかで多少心配に思うところがあっても、自分の子供にADHDがあるのではないかと危惧するのではなく、社会のほうが違いや個性を認めるように変わるべきかもしれません。
(文=吉澤恵理/薬剤師)

吉澤恵理/薬剤師、アロマコーディネーター
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。同大学で研究に従事。その後、福島県立医科大学薬理学講座助手として勤務するなかで臨床に興味が湧き、福島県公立岩瀬病院薬剤部勤務となる。その後、いくつかの病院・調剤薬局に勤務してキャリアを積み、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組んでいる。アロマコーディネーターの資格も有し、美容に関しての相談にも応需、好評を得ている。 医療、健康、美容、ダイエット、子育てなどをテーマにしたコラムは、多くのファンを持つ。プライベートでは、男3人、女1人の4人の子どもを持つシングルマザーである。

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