「実質0円」への規制強化、格安スマートフォンの普及など、さまざまな逆風が吹いているにもかかわらず、大手携帯電話会社(キャリア)の業績が好調だ。昨年11月、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社がそろって2016年4~9月期の中間決算を発表したが、いずれも増益を達成している。
その好調の要因のひとつとなっているのが、携帯電話やスマホの購入時、機種変更時に利用者が販売店で加入させられる各種オプションサービスだ。オプションには、留守番電話や端末の故障や紛失時のサポートなどのほか、指定の映画・ドラマ・アニメが見放題、マンガや雑誌が読み放題など、エンタメ色の強いサービスも多い。実際、ドコモの場合、決算発表を見ると増益分の多くをエンタメやサポートなどのオプションで稼ぎ出している。
しかし、大手キャリアのオプションには問題が多いのも事実だ。13年には、auショップでiPhoneなどのスマホを購入した際、指定の有料オプション加入を求められる「オプション強制」に苦情や批判が相次いだ。その後、同様にオプション加入を求めていたドコモやソフトバンクも批判を浴び、大きな問題となったことで各社がオプション強制を見直した経緯がある。
それにもかかわらず、大手キャリアでは、現在もこのオプションがドル箱のひとつとなっているわけだ。スマホ評論家の新田ヒカル氏は、「『オプションに強制加入させられた』という相談をいまだに受けますし、自分が加入させられていることを自覚していないケースも多い」と語る。
必要のないサービスを契約してしまうことで、無駄なお金を毎月支払うはめになるオプション加入問題。利用者が損をしないためには、どんな点に注意すればいいのだろうか。
オプションで稼ぐキャリア、販売店にはマージン
まず知っておく必要があるのは、大手キャリアとショップの関係だ。実は、利用者が端末の購入や機種変更、料金の支払いなどで利用するショップの多くは、大手キャリアではなく別会社が販売代理店として営業している。
ショップ側は、端末や付属品を売ることで、キャリアから支払われる販売手数料を得て利益を上げている。各種オプションも、端末の購入時にショップから強く勧められて仕方なく加入したという人が多いはずだ。では、なぜショップ側は利用者をオプションに加入させようとするのか。
「たとえば、新規の客を月額324円の動画見放題などのオプションに加入させることができれば、キャリアからショップに1000円のマージンが支払われるからです」と新田氏。この仕組みによって、仮に3人の客がオプションに加入し、2人が早々に解約してしまっても、1人が残ればキャリアが損をすることはないという。