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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

花粉症にはヨーグルトと洗顔が劇的効果?知られざる「良く効く」解消法はこれだ!

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士
花粉症にはヨーグルトと洗顔が劇的効果?知られざる「良く効く」解消法はこれだ!の画像1「Thinkstock」より

 今年も花粉症の季節がやってきました。

 夏に「気温が高く」「日照時間が多く」「降水量が少ない」と、スギやヒノキの花芽が多く形成されるため、翌年春の花粉飛散数が多くなります。

 日本気象協会が発表した2017年春の花粉飛散予測によると、昨年の夏は全国的に気温が高く、日照時間は北海道・北陸・東海・近畿・四国・九州地方のほとんどで多く、特に九州北部では非常に多かったことから、九州・四国・近畿・東海地方では花粉の飛散数は例年を上回り、前シーズンよりも非常に多いとみられています。また、北陸・中国地方では前シーズンより多く、例年並みの飛散数と予想されています。

 一方、東北・関東甲信地方では、気温は高めだったものの曇りや雨の日も多かったため、飛散数は前シーズンより少なめで、例年よりやや少ない見込み、北海道では、例年に比べて非常に少ないとの予測です。

花粉症の発症

 花粉症は、花粉が人の鼻や目の粘膜に付着するところから始まります。そのため、原因となる花粉が飛んでいる時季にだけ起こります。

 粘膜にある免疫細胞(リンパ球など)が花粉を異物(抗原)として認識すると、抗体(IgE抗体)がつくられます。次に、花粉が粘膜に付着すると抗体は抗原(花粉)を排除するように働きます。抗原を見つけた抗体は、肥満細胞を刺激してヒスタミンなどの化学物質を放出させ、抗原を追い出そうとします。ヒスタミンは粘膜を刺激することで、くしゃみ、鼻水、涙などで花粉を体外に出そうとしているのです。

 花粉症の原因となる7割はスギ花粉で、スギ以外にもヒノキ、シラカバ、ケヤキなどの樹木や、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどの草花の花粉症もあります。スギ花粉が1番の原因になるのは、スギ林が全国の森林面積の18%、国土の12%を占めているためで、飛散数が少ない北海道や、スギの木がない沖縄では、スギ花粉でみれば花粉症患者はわずかです。

 しかし、同じ場所に暮らしていて、たくさんの花粉が飛んでいるのに、花粉症になる人とならない人がいます。

 症状の現れ方の違いは、体内に侵入してきた異物に対して生まれつき抗体ができやすいかどうかの遺伝的な違いによるともいわれています。しかし、花粉症は免疫の過剰反応ですから、やはり免疫力を整えるということが最大の防御だといえるでしょう。

 その日の飛散数だけでなく、過労気味だと症状が重く出たり、しっかり睡眠をとるとあまりくしゃみがでないといった経験をしている方も多いのではないでしょうか。花粉症に負けない体をつくるには、生活習慣の見直しが一番大切です。

 とはいえ、つらい症状が出てしまってからでは、基本的な生活習慣を見直す余裕もないかもしれません。そこで、薬に頼らざるを得ないという方も多いと思いますが、薬を飲む前に花粉症を楽にする対処法をおさらいしてみましょう。

花粉症対策のポイント

 花粉症対策の一番は、なんといっても「花粉に触れない、吸い込まない」ようにすることです。そのためのポイントを考えてみましょう。

【マスクの着用】

 これは多くの方が実行していますね。ポイントは顔とマスクの隙間をできるだけなくすことです。またアゴの部分が動くことが多いので、しっかりアゴを覆える大きさのものを購入してください。インフルエンザ対策などで、ウイルス用マスクをお持ちの方も多いかと思います。ウイルスよりも花粉のほうが粒子は大きいので、ウイルス用マスクならさらに安心です。

【メガネの着用】

 こちらも多くの方が使っていますね。花粉症のつらい症状として、眼のかゆみと充血がありますが、普通のメガネをかけるだけでも眼の中に入る花粉の量はかなり軽減できます。普段コンタクトを使用している方も、この時期だけはメガネにするだけでかなりの効果があると思います。花粉をブロックする形状のメガネも販売されています。どうしてもコンタクトを使う場合、花粉が飛ぶ時季だけでも使い捨てのワンデーのものにしましょう。外して洗浄しても花粉がレンズに付着して残っているかもしれませんので、2日以上使うタイプはさけたほうが無難です。

【玄関先で花粉を落とす/洋服をはたいてから家に入る】

 家に花粉を持ち込まないために、玄関先で洋服をはたいてから家に入る方も多いと思います。しかし、これでは、自分に向かって花粉をまき散らすことになってしてしまいます。家の中に花粉を入れないようにするためには、はたいて花粉を落とすのではなく、濡れタオルやウェットティッシュ、粘着シートなどで舞い上がらせないようにふき取りましょう。

【手洗い・洗顔する】

 あまり実行している方はいないかもしれませんが意外と効果があるのが洗顔です。外から帰ってきたら、手洗いと一緒に洗顔もしましょう。これだけでも顔の周りの花粉を落とすことができるので、特に目のかゆみ対策におすすめです。なお「アイボン」のような洗眼液も効果がありますが、使いすぎるとドライアイの原因にもなりますからご注意ください。

【こまめに掃除機をかける】

 こまめに掃除するのは良いことですが、掃除機を使うと排気口から花粉をまき散らすことになってしまいます。床に落ちた花粉は、ぬれ雑巾やフローリングワイパーでふき取りましょう。カーペットの場合は、水拭きではなく粘着シートを使いましょう。

【加湿器を使う】

 雨の日に花粉の飛散数が少ないように、水分を含んだ花粉は床に落ちてくれるので、加湿器を使うと部屋の中での花粉の飛散数は減ります。しかし、また乾燥すれば空中に飛散してしまうので、床に落ちている間にフローリングワイパーや粘着シートでふき取りましょう。

【空気清浄機を使う】

 花粉が多く飛ぶ時季は、空気清浄機を使うことも有効です。しかし、空気清浄機は空中に浮遊している花粉は吸い取ってくれますが、床に落下した花粉は取り除けないようです。床はフローリングワイパーや粘着シートでこまめにふき取りましょう。空気清浄機を購入するなら加湿機能付きのものを購入するといいでしょう。

【花粉症に良いとされる食品を摂る】

 ヨーグルトや甜茶、レンコンなど花粉症に良いとされる食べ物には、花粉症の症状を緩和してくれる効果があるようです。しかし、薬ではありませんから、食べたらすぐに症状が軽くなるような対症的効果を期待して使うものではありません。日々食べることで、その効果が発揮されると考えられるので、花粉症が出てから食べるのではなく、普段の食事にバランスよく取り入れるようにしましょう。

 それでもつらい症状が出てしまったら、頼りたくなるのが「薬」です。次回は、花粉症の治療について解説します。
(文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士)

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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