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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

自由業は「不」自由業?「会社を辞めて独立」の落とし穴…会社員優遇の様々な保障失い…

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
自由業は「不」自由業?「会社を辞めて独立」の落とし穴…会社員優遇の様々な保障失い…の画像1「Thinkstock」より

 パート勤務のA美さん(55歳)の夫(58歳)は、中堅食品メーカーに勤務する営業マン。やっと子どもも大学を卒業し、今年就職が決まって、ほっとしたところだ。

 夫の会社の定年は63歳で、A美さんとしては、夫がこのまま定年まで今の会社に勤務し、その後数年は、嘱託などで引き続き会社員として働くものと思っていた。

 ところがある日突然「会社を辞めて独立したい」と言い出した。どうやら、飲み仲間と数人で、有機野菜を専門にしたお店を立ち上げるというのだが、どうやらA美さんにも手伝ってもらいたい様子。

 驚いたA美さんは、賛成するか反対するかはさておき、まずは自営業者のマネープランをどう考えればよいか知りたいと筆者の元へ相談に見えたわけである。

働く人のうち、会社で働く「雇用者」は約88%を占める

 
 ずっと会社で働いていると、「独立して、自分自身のチカラを試してみたい」という気持ちになるものだが、その理由はお察しできる。

 しかし、会社員と自営業・自由業者(以下、「自営業者等」)を比較すると、前者が圧倒的に多い。総務省の労働力調査(平成27年)によると、就業人口(6376万人)の内、会社や自営業主に雇われ給料をもらっている従業員などの「雇用者」(経営者、役員等を含む)は5640万人、一方、「自営業主・家族従事者」(いわゆる家事手伝いを含む)は705万人となっている。

 つまり前者は約88%と大多数を占めている上、自営業者等は年々減少傾向にある(【図表1】参照)。

 日本の起業活動率は先進国のなかでも最低レベルだというが、先行き不透明な昨今の経済状況のなかでは、「起業して一か八かやってみたい!」という人が少ないのもうなずけるだろう。

 しかし、働き方の多様性という観点から考えると、定年退職後やアーリーリタイヤ後に、雇用者ではなく、自営業者等になるという選択肢もまったくゼロではない。そのときに慌てないためにも、自営業者等のマネープランについて考えてみよう。

自由業は「不」自由業?「会社を辞めて独立」の落とし穴…会社員優遇の様々な保障失い…の画像2

自営業者等の3つのメリット~定年後も年金が調整されない!~

 筆者自身もフィナンシャルプランナー(FP)として独立開業して20年ほどになるが、たまに「独立したい」というご相談を受けることがある。自営業者等のメリットは、おもに次の3つに集約できるのではないだろうか。

(1)定年退職がなく、本人のやる気とやり方次第でいつまでも働ける
(2)実力と努力に応じて収入が増える
(3)自分のやりたいこと・好きなことを仕事にできる

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

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