アプリのダウンロード数1500万を突破した「AbemaTV」は、2017年4月で1周年を迎える。3月27日付記事『爆人気AbemaTV、なぜ旧来テレビ型なのに「ほぼテレビ見ない」若者層を獲得?』では、AbemaTV取締役でサイバーエージェント常務取締役も務める小池政秀氏に、テレビと同じような番組編成の「リニア配信」を行う理由や若者世代をターゲットにする戦略について聞いた。
今回は、前回の話に出た“選球眼”や今後の課題およびビジョンについて、さらに小池氏の話をお伝えする。
「AbemaTV、わかってるね」と言ってもらうために
――前回、若い女性の視聴者が増えていて、徹底的に10代を狙った番組も配信しているというお話がありました。
小池政秀氏(以下、小池) もちろん、若い方向けのコンテンツだけを用意しているわけではなく、麻雀や将棋、釣り専門のチャンネルもあります。これらは、上の世代にも人気ですね。
――麻雀は強いですよね。
小池 麻雀については、「AbemaTV」さえ見ておけばトッププロが集う主要な対局を把握できるようにしています。麻雀はテレビで頻繁に扱われるコンテンンツではないですが、「AbemaTV」にとってはすごく大きなコンテンツですね。また、麻雀チャンネルのユーザーはアクティブ率が高いんです。頻繁に訪れる上、長時間視聴してくれます。
――習慣化しやすくなる?
小池 はい。趣味の世界や熱狂的なファンのいる分野は、きちんと嗜好やニーズを押さえると強いです。そのためには、チャンネルの編成がターゲットとなるユーザーを裏切らないことが大事です。ユーザーから「『AbemaTV』、よくわかってるね」と言ってもらえることを目指しています。
その“土地勘”のないまま、ネームバリューだけで番組を選んで編成したりすると、「何もわかってない」と思われてユーザー離れにつながってしまいます。そのため、各チャンネルでユーザーに受け入れてもらえるような編成を心がけています。たとえば、非アニメユーザーの方はアニメ全体をまとめて「アニメ」と言いますが、実際はそうではないですよね。
――そうなると、チャンネルごとに担当者が配置されているんですか?
小池 はい。平均3~4人でチームを組んでいますが、その分野に明るくなければ担当者にすることはありません。逆に言うと、新しくチャンネルとして増やしたいものがあっても、その分野に明るい人がいなければ手を出さないということです。「おいしそうだから、やってみよう」では大やけどする可能性もありますから。
――番組編成においては、どういった点に注力されていますか?
小池 長期的な視点を大切にしています。ある編成について、「当日はよかったけれど、1週間で見るとあまりよくない」「翌週にユーザーが減った」というふうに、いろいろな角度から評価しています。少なくとも、平日と週末の2回はチャンネルを見てもらえるようなコンテンツの編成を考えています。
――「AbemaTV」への投資に今年度で200億円を予定していますが、これはどの分野に関する投資でしょうか。
小池 ほぼ、コンテンツの調達や制作にかける費用ですね。広告宣伝やシステム構築費用は、比率としてはかなり低いです。