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【神戸山口組分裂・最新動向】井上組長釈放後すぐに定例会を開催…武闘派直参誕生に士気高まる

文=沖田臥竜/作家
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【神戸山口組分裂・最新動向】井上組長釈放後すぐに定例会を開催…武闘派直参誕生に士気高まるの画像1六代目山口組が発行する「山口組新報」

 7月9日、人混みで賑わう新神戸駅に、関東を拠点とする大物親分が降り立った。四代目山健組最高幹部らの出迎えを受けて、この親分が向かった先は四代目山健組本部。捜査関係者によれば、「7日に釈放された井上邦雄組長のお祝いに訪れたのではないか」と推測されている。
 
 開けて10日。この日、井上組長釈放後、初となる神戸山口組の定例会が俠友会本部で開催された。12時半頃に姿を見せた井上組長は、逮捕前に「元気な姿で戻ってくる」と話したと言われている通り、疲れた様子など見せることなく、堂々と同本部内へと入っていったことが詰めかけた報道陣によって確認されている。
 
 午後1時過ぎ、割れんばかりの拍手が同本部内に響き渡った。関係者らによれば、先頃、直参へと昇格を果たした三代目古川組の仲村石松組長の挨拶があったのではないかという。井上組長の釈放に続き、武闘派組長の誕生に、分裂騒動の渦中にある組織の士気が高まったに間違いない。
 
 そして、その定例会の終了を待っていたかのように、四代目山健組若頭である中田広志・五代目健竜会会長が下京署に出頭した。中田会長は、井上組長らが逮捕された容疑と同じく、今年1月に会津小鉄会本部で起きた乱闘事件に関わったとされ指名手配されていたのだ。
 
「親分を守るために、あえて体(たい)を躱す(=事態から逃れる)ことがある。今回の場合は中田会長が躱すことで、当局からすると、井上親分と幹部らの命令系統の解明が困難になっていた。そして、勾留期限まで逮捕された関係者の誰もが黙秘を続け、井上親分は処分保留で無事釈放された。中田の会長は、“会津小鉄会の乱”に関連した、神戸山口組幹部たちへの連続逮捕劇【参考記事】に終止符を打ちに出頭されたのだ」と、神戸山口組関係者は口にしている。ただ警察当局の意気込みは萎えてはいない。

 神戸山口組が定例会を開催したこの日、京都府警は会津小鉄会本部の乱闘事件の関係先として、三代目弘道会と司興業といった、六代目山口組における中核団体に家宅捜索をかけている。その翌日には、六代目山口組総本部にも家宅捜索に入った。これを“会津小鉄会の乱”関連捜査への最終処理と見るか、捜査は終わったわけではないことを示していると見るか、それはわからない。
 
 多くの逮捕者を出すに至った会津小鉄会の分裂は、山口組にとっても少なからず影響をもたらしたといえるだろう。だが、遡れば同団体の分裂は、一昨年の六代目山口組の分裂に端を発したものともいえる。そして、今年、神戸山口組までが分裂した。
 
 常にその動向に注目が集まる任俠団体山口組。当主である井上組長が復帰を果たした神戸山口組。この2つの山口組と対峙する形となる六代目山口組。警察当局に活動を抑止されながら、3つの山口組はどのような変貌を遂げていくのであろうか。
 

山口組新報で詠まれた思い出の短歌

  そうした中で六代目山口組は、7月5日の定例会で直参組長らに機関紙である「山口組新報」を配布している。第13号となる今回の紙面の巻頭を飾ったのは、六代目山口組若頭補佐である安東美樹・二代目竹中組組長。そこには、山口組という金看板に対しての姿勢が綴られており、任俠道について記されている。
 
 全8ページにわたる機関紙には、組員たちの俳句に川柳、新直参となった二代目大原組の金田芳次組長による決意表明、三代目心腹会の小林良法会長の旅行記などが盛り込まれ、バラエティに富んだ内容となっている。
 
 4年前に、「山口組新報」が38年ぶりに復刊を果たした際、著者はまだ現役組員であり、仕えさせていただいた親分から「お前も懲役長いねんから、どうや。短歌でもひねったらどないや」とお声がけ頂いたのを懐かしく覚えている。
 
 当時は、各ブロックによって、川柳や俳句、そして短歌の応募を呼びかけていたのだが、著者はそういったものにまったくたしなみがなかったので、応募自体を辞退させてもらった。
 
 過去の新報で掲載されたもので、著者の心に残っているのは、前号12号で二代目岸本組の清水武組長が詠んだ短歌である。
 
先代が、広めし庭を我れすぼめ、心でわびて泣く木枯らしや
 
 暴力団排除条例の施行に続き、空前絶後の六代目山口組分裂。組織が大きな変化に見舞われる中、さまざまな想いの中で詠まれたものではないかと思わされる一句でもあった。
 
 現役当時、公用で二代目岸本組本部へと伺った際、そこに清水組長がいる時は、いつもほがらかに「組長によろしく言うとってや」と声をかけてくれた。その様子が、今では随分と昔のように感じてしまうのであった。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新刊は、元山口組顧問弁護士・山之内幸夫氏との共著『山口組の「光と影」』(サイゾー)。

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