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北朝鮮の核実験、本国送金の朝鮮総連本部前で韓国民団が抗議活動…分断される在日コリアン

文=長井雄一朗/ライター

「韓国民団も朝鮮総連も同じ在日コリアン」

 在日コリアンは日本社会の一員でもある。仮に本国が問題を起こせば、そのときは「間違っている」というべきではないだろうか。北朝鮮から一方的な指令を受け、その指示に唯々諾々と従っている朝鮮総連のあり方について、内部改革の動きは生まれないのか。周辺を取材してみたが、一様に「難しい」という答えが返ってきた。

 朝鮮総連内には、上層部に下部会員が逆らえない“空気”もあり、内部改革を期待するのはかなり難しいようだ。そんな朝鮮総連に次世代の在日コリアンが参加するかといえば、これも疑問だ。このまま北朝鮮に一方的に従っていれば、朝鮮総連は先細っていくだろう。それは、誰もが想像するところだ。

 だからこそ、韓国民団としては朝鮮総連に「目を覚ましてほしい」という思いが強い。韓国民団中央本部の林三鎬(イム・サムホ)副団長は、抗議活動後に「みなさんの思いが伝わったと思います」と参加者を激励した。

 林副団長は北朝鮮および金正恩朝鮮労働党委員長の行いについて、「本当にひどいことです」と語り、以下のように述べた。

「朝鮮総連も北朝鮮の言いなりにならず、国際社会や日本および韓国民団の話を聞いてほしい。日本人からすれば、韓国民団も朝鮮総連も同じ在日コリアン。自分たちが日本人からどう見られているか、立ち止まって考えてみるべきです。朝鮮総連の会員も、今の北朝鮮のあり方についてひどいとわかっている人もいますが、それでも上層部に逆らえないのは残念です」

 また、今回シュプレヒコールを上げた韓国民団青年会中央本部の朴裕植(パク・ユシ)会長は「脅威と不安を覚えています。我々の生活や家族の安全が脅かされているというのは、みな同じ気持ちです。北朝鮮が行っていることは許されるべきではありませんが、対話外交によって解決してほしいです」と述べた。

 朝鮮総連に対しては、以下のように語る。

「ミサイル開発で歓迎の意を出してほしくありません。確かに、我々と同様に日本で生活しているなかで、朝鮮総連の会員はミサイル発射に不安と脅威を感じないのかと思います。韓国民団青年会としては、三世、四世と世代が変わっていきますが、我々自身が日本や国際社会、そして朝鮮半島をルーツに持つ一員として祖国平和統一に向かっていく中で、朝鮮総連がミサイル発射・核開発反対の意思表示を出してほしいというのが願いです」

 林副団長と朴会長に共通しているのは、朝鮮総連に対する複雑な思いが垣間見られたことだ。北朝鮮の暴挙に対しては「どうか、我々の思いが伝わってほしい」という強い願いがある。祖国平和統一は、すべての朝鮮民族にとって夢であり願いである。その思いがあればこそ、韓国民団は朝鮮総連に対して、反発だけではなく一言では言えないさまざまな思いがある。両氏が朝鮮総連に対して語っていたとき、一抹のさびしさを感じるような言葉もあった。

 ちなみに、この抗議活動や一連のミサイル発射・核開発問題について朝鮮総連にコメントを求めたが、「特にありません」との回答であった。言葉は丁重だったが、きっぱりとした拒絶反応に言いようのない高い壁を感じた。日本国内における南北朝鮮問題は、いつ解決されるのだろうか。
(文=長井雄一朗/ライター)

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