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NEC完全凋落、談合発覚で入札指名停止…赤字回避のため成長事業売却の「自転車操業」

文=編集部
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NEC完全凋落、談合発覚で入札指名停止…赤字回避のため成長事業売却の「自転車操業」の画像1日本電気本社ビル・NECスーパータワー(「Wikipedia」より)

 ソニーが復活する。

 11月1日、ソニーの株価は前日比510円(12%)高の4923円まで上昇し、2008年6月以来9年4カ月ぶりの高値を付けた。11月8日には5485円と年初来高値を更新。10年来安値(772円、12年11月15日)の7.1倍となった。ちなみに12月22日の終値は5192円だ。

 10月31日に発表した18年3月期の連結営業利益の見通しは、従来予想を1300億円上回る6300億円。20年ぶりに最高益を更新するだけではなく、事前の市場予想の平均であるQUICKコンセンサスを500億円上回った。

 株式市場はソニーの復活に沸き立った。

 かつてエレクトロニクスは自動車とともに日本のお家芸だった。テレビを中心とする消費者向け家電製品が牽引役となったが、デジタル化が進みテレビなどの価格が急落。韓国勢の攻勢や08年に起きたリーマン・ショックに見舞われ、2000年代後半に各社は軒並み大赤字に沈んだ。

 各社がテレビから撤退するなか、ソニーは自前のテレビ生産にこだわった。長年、ソニーを苦しめてきた元凶は、テレビ事業だ。薄型テレビやスマートフォンなどの不振で15年3月期まで2期連続の巨額の最終赤字を垂れ流した。一転、テレビ事業が復調し、ソニーの復活を後押しした。

 ソニーは18年3月期の連結決算(米国会計基準)の売上高を前期比11.8%増の8兆5000億円、営業利益は2.2倍の6300億円、純利益は5.2倍の3800億円を見込んでいる。営業利益は20年ぶり、純利益は08年3月期以来、10年ぶりに過去最高を更新する。未定としていた年間配当は前期比5円増の25円とした。

 半導体や音楽事業が当初の想定を上回るほか、為替を円安に見直したことも寄与する。半導体事業の営業損益は1500億円の黒字(前期は78億円の赤字)となる。黒字幅は従来予想より200億円拡大。スマホの背面にカメラを2つ使う「デュアルカメラ」化の流れを受け、画像センサーの販売が増加。前期は熊本地震の影響もあって赤字だったが、今期は大幅に損益が改善する。音楽事業の営業損益は940億円の黒字。従来予想より190億円拡大する。

 だが、なんといっても不振の元凶だったテレビが復調するのが大きい。テレビが主力のホームエンタテインメント&サウンド事業の売上高は1兆2000億円、営業利益は760億円。従来予想より売上高は300億円、営業利益は180億円上方修正した。4Kテレビなど付加価値の高いモデルの販売が好調で、年間販売台数を従来予想の1200万台から50万台引き上げた。

 テレビ事業の復調がソニーの復活をもたらしたが、変動の大きい半導体などを抱えている以上、来期(19年3月期)も成長を続けられるかどうかは不透明だ。

 ソニーの18年3月期の営業利益6300億円は、日立製作所の6900億円に迫る。日立は事業の選択と集中を進め、交通やエネルギーといった海外のインフラ事業を柱に据えた。

 他方、パナソニックは不振のプラズマテレビから撤退し、車載や住宅といった企業向け分野に事業をシフトした。

 ソニーは個人向けが中心で、パナソニックと比べても法人シフトが遅れている。全方位のオールラウンドプレーヤーを続けるのか。業績が回復した今こそ、選択と集中を徹底できるかどうかが問われる。

BusinessJournal編集部

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