「われわれが監査請求しなければ、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)は結果的に、利用者からの弁償本の預り金を“ネコババ”した格好になっていました。市もそのような会計処理を認めたことになります。これは重大な問題です」
そう憤慨するのは、昨年12月に宮城県・多賀城市立図書館の不適切な会計について、住民監査請求した地元市民グループの佐俣主紀代表だ。
同グループは、利用者から弁償本の代金を受け取っておきながら、その本を公費によって購入していたのは不当であり、市はCCCに弁償本代金を返還させよという請求を行った。その結果は、市民側の“全面勝利”だった。
昨年12月25日に住民監査請求を受けた多賀城市監査委員は、今年2月23日付通知において、請求をほぼそのまま認めるかたちで、CCCの保有する弁償本預り金6万3278円を市に返還させるよう多賀城市教育委員会に勧告した。
不祥事が明るみに出たのは、レンタル大手TSUTAYAを全国展開するCCCが運営する図書館で、いわゆる「ツタヤ図書館」のひとつだ。
当サイトではこれまでツタヤ図書館に関し、たびたび運営上の問題点を報じてきたが、今回は疑惑ではなく、監査委員に認定された“不正事案”である。その経緯を詳しく解説していきたい。
弁償金を受け取りながら本購入に充てず
図書館利用者が、借りた本を紛失したり汚してしまった場合、どうするべきだろうか。基本的には、利用者が弁償しなければならない。ただし、弁償の方法は自治体によって多少異なる。多賀城市立図書館では、原則は現物での弁済となっているにもかかわらず、利用者から弁償のためとして代金を受け取り、そのうえ、該当の本を買っていなかったり、公費によって購入していたのだ。
下の図は、平成28年度(2016年度)にCCCが多賀城市から受け取った指定管理料(運営費)のなかから購入した資料一覧の一部である。このなかの赤線を引いた平成28年10月24日の「伝票No.638」と平成28年11月11日の「伝票No.695」は、いずれも末尾に「利用者様弁償分」と記されている。
これらは、新規に購入した図書ではなく、利用者が借りた本を紛失したり破損・汚損したため、お金で弁償されたものであることがわかる。