5月14日、東京証券取引所は、国内フリマアプリ大手メルカリの東証マザーズへの新規上場を承認した。上場は6月19日の予定だ。上場直後の時価総額は2000~3000億円に達すると予想される。
メルカリはわが国を代表する“ユニコーン企業”だ。ユニコーン企業とは、企業価値が10億ドル(約1100億円)を上回ると考えられる新興企業だ。ユニコーン企業の語源となったユニコーンは、勇猛な性格と毒を清める力を持つ伝説上の生き物として描かれてきた。ユニコーン企業は、平均的な企業をはるかに上回る成長期待を秘めると同時に、新しい発想を実現することで付加価値を生み出す企業というイメージだ。
メルカリの新規上場への期待は高まっている。上場後の時価総額が3000億円程度に達すれば、メルカリがマザーズ最大の時価総額企業に躍り出ることも考えられる。問題は、その期待が一時的なものか、それとも中長期的な同社の成長戦略に裏付けられているかものだ。同社の経営内容を見ていると、さまざまな課題が浮かび上がる。特に、海外事業の強化に向けたコストの増加が見込まれており、同社経営陣が今後の成長戦略をいかに切り盛りすることができるかに注目が集まる。
メルカリが変えたショッピングの常識
メルカリは、ある意味ではショッピング=買い物の常識を変えた。有り体にいえば、ありそうでなかったサービス(プラットフォーム)を社会に提供したのである。それが、ネット空間で直接、個人と個人がモノやサービスを取引するプラットフォーム(基盤、場)を提供することだった。それが同社のフリマアプリだ。
従来、私たちは、小売店などの企業から必要なモノやサービスを入手し、その対価を支払ってきた。これが、企業と消費者間の取引(B to CあるいはB2C、Business to Consumer)だ。B2Cの場合、売り手は企業、買い手は消費者である。
一方、メルカリは消費者と消費者がダイレクトに取引を行うプラットフォームを開発した。これがC2C(Consumer to Consumer)の発想だ。C2Cでは、個人が買い手にも、売り手にもなる。なお、同社は出品者の売上に10%の販売手数料をチャージすることなどで収益を得ている。いわば、ネット空間でのフリーマーケットの場を提供し、場の利用代金を徴収している。