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高橋篤史「経済禁忌録」

あのジャスダック上場「ハコ企業」に強制調査…蠢く怪しい人脈の全容解明か

文=高橋篤史/ジャーナリスト
あのジャスダック上場「ハコ企業」に強制調査…蠢く怪しい人脈の全容解明かの画像1「Gettyimages」より

 ジャスダック上場ソルガム・ジャパン・ホールディングス(以下、ソルガム社)が5月24日、証券取引等監視委員会の強制調査を受けた。会社側の発表によると、2017年3月期の有価証券報告書における営業キャッシュフローの金額に関し、虚偽記載の疑いが持たれているという。

 同社が“ガサ入れ”を受けたことについて特段の驚きはない。というのも、ここ数年にわたり“ハコ企業”の代表格として知られてきた銘柄だからだ。新株発行を繰り返しながら裏付けの怪しい新規事業をぶち上げ、社名もたびたび変更、その一方でキャッシュの流出を続ける不振企業――それがハコ企業である。背後ではブローカーや、ときには反社会的勢力が蠢き、経済事件に発展することも少なくない。ひと頃に比べそうした銘柄は減ってきたが、ソルガム社は事案の広がりや突飛な新規事業でこの間、注目されてきた。

 もともとソルガム社は半導体テスト開発の会社で、社名も当初はシスウェーブと名乗っていた。ジャスダック市場に上場したのは07年3月。そんな同社の経営がおかしくなり始めたのは11年暮れのことだ。その時、神奈川県相模原市在住の個人投資家から大量の株式を買い取り筆頭株主となったのは、1カ月前に設立されたばかりという「N&Mマネージメント」なる東京・赤坂の経営コンサルティング会社。保有割合は26.6%に上った。大量保有報告書によれば、株取得資金の全額は、やはり東京・赤坂にある「共和フィナンシャル」という金融会社から借りていた。

 約4カ月後、ソルガム社は持ち株会社となり、M&A戦略を打ち出す。まずは12年11月、東証マザーズ上場の半導体開発会社、リアルビジョン(現RVH)の株を取得して持ち分法適用会社として傘下に入れた。

 さらに13年6月には当時流行していたライツオファリング(全株主に対し新株予約権を割り当てる資金調達方法)を用いて最大17億7600万円を調達する計画をぶち上げる。それをテコに乗り出したのは、本業とまったく関係のない「スーパーソルガム」なるバイオエタノール用植物種子の販売事業だった。ソルガム社はその拠点として「日本ソルガム」なる会社の全株を正体不明のシンガポール企業から5億円で買い取った。

高橋篤史/ジャーナリスト

高橋篤史/ジャーナリスト

1968年生まれ。日刊工業新聞社、東洋経済新報社を経て2009年からフリーランスのジャーナリスト。著書に、新潮ドキュメント賞候補となった『凋落 木村剛と大島健伸』(東洋経済新報社)や『創価学会秘史』(講談社)などがある。

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