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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国、習近平の顔写真ポスターに墨汁かける運動拡大…人民の不満爆発、独裁体制に危機

文=相馬勝/ジャーナリスト
中国、習近平の顔写真ポスターに墨汁かける運動拡大…人民の不満爆発、独裁体制に危機の画像1中国の習近平国家主席(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 中国では今月に入って、習近平国家主席の肖像画が印刷されたポスターに墨汁や黒インクをかける運動が北京や上海を中心に全土に拡大しており、中国共産党中央弁公庁は最近、地方の党機関に対して、街頭や建物内にある習氏の肖像画入りのポスターや掲示板、宣伝塔、彫像などを撤去する指示を出していたことがわかった。

 習近平指導部が国家主席などの任期を撤廃したり、習氏を批判する人権活動家や弁護士らを多数逮捕するなど独裁体制の強まりに反発する声が多くなっているためで、指導部は習氏の個人礼賛キャンペーンを停止するなどの措置をとっており、今春以降、加速していた個人崇拝の動きに歯止めがかかったかたちだ。

 また、2012年に現指導部が発足してから最大の失点と目される米中貿易問題の影響もあるとみられ、7月下旬からの中国共産党の重要会議「北戴河会議」で習指導部への批判が集中する可能性もある。

共産党も警戒

 習氏の肖像画に墨汁などをかける運動が広がったきっかけは、上海在住の董瑶琼さん(29歳=女性)が今月4日早朝、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に生配信したパフォーマンスだった。董さんは「私は習近平とその独裁主義に反対です」と言うと、背後にある街頭の習氏の肖像画入りポスターに墨汁をかけたのだ。その動画はウェイボー上でシェアされ、瞬く間にインターネット上で拡散した。
 
 董さんは昨年、北京の強制移住に関するドキュメンタリー制作で投獄された経験を持つだけに、董さんの身の安否を心配した読者らは「たくさんの人があなたのことを考えて、心配しています。僕はそのたった1人にすぎません」と董に呼びかけた。「もし、国が豊かさと中国の夢を求めるならば、寛容と容赦の心が必要だ。習近平が罰金と謝罪文くらいで許すのを国民は望んでいるはずだ」と訴えた。
 
 しかし、董さんは同日午後2時過ぎ、ウェイボー上で「自宅のドアの外に制服姿の警官数人がいます」などと報告したあと、音信を断った。その後、ウェイボー上での董さんの投稿自体が削除され、董さんの電話番号も使われていない状態になったという。

 ネット上では「中国は人民のもの。共産党のものではない!」「共産党の暴政は許せない。習近平、董さんを解放せよ。言論の自由は犯罪ではない」などとの書き込みが相次いだ。その後、「インクをかけるのは董さん1人ではない。団結をみせる」などの声が寄せられ、中国各地で習氏のポスターに墨汁やインクがかけられる行為が相次いだ。

 党中央は地方の党機関に習氏のポスターの撤去を指示。各党機関のホームページ上の「習近平思想を学ぶ」などの政治宣伝コーナーも消去したほか、習氏の故郷、陝西省などで予定されていた習近平思想討論会などのイベント中止も発表した。

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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