(「Thinkstock」より)
特殊鋼専業メーカー、大同特殊鋼の株価も堅調だ。3月4日の高値は504円(前週末比4円高)。2月12日につけた戻り高値502円を上回った。「なでしこ17銘柄」に入ったのがサプライズで、株価を押し上げた。2月26日の終値(464円)から8.6%上昇した。3月19日の終値は519円で、上昇率は11.8%だった。
大同特殊鋼は、ものすごく地味な銘柄だけに、なでしこ銘柄に選定される効果は絶大といわれるゆえんである。
経済産業省と東京証券取引所は共同で2月26日、女性社員を積極的に活用し、かつ経営効率も高い上場企業17社を「なでしこ銘柄」に選定した。選定作業は日本総合研究所が担当した。
東証1部上場企業が対象で、業種ごとに(1)女性の登用実績や仕事と家庭の両立支援の取り組み(2)自己資本利益率(ROE)の高さーーの2点で評価した。特定の業種への偏りを避けるため1業種1銘柄とした。
「なでしこ銘柄」に選ばれたのは、マルハニチロホールディングス(水産・農林業)、積水ハウス(建設業)、アサヒグループホールディングス(食料品)、東レ(繊維製品)、花王(化学)、住友ゴム工業(ゴム製品)、旭硝子(ガラス・土石製品)、大同特殊鋼(鉄鋼)、住友金属鉱山(非鉄金属)、ダイキン工業(機械)、日産自動車(輸送用機器)、ニコン(精密機器)、豊田通商(卸売業)、三井住友フィナンシャルグループ(銀行業)、東京急行電鉄(陸運業)、KDDI(情報・通信業)、ファーストリテイリング(小売業)の17社。
男女雇用機会均等法が施行されて久しいが、依然として、わが国における女性の地位や立場は弱いままだ。女性役員の数は毎年微増しているが、男性役員100人に対して1人と、極端に少ないのが現状だ。女性役員がいる企業でも、ほとんどが1人だけである。
東証としては欧米諸国に比べて遅れている女性の社会進出を後押しするとともに、女性の個人投資家が銘柄を選ぶ際の参考にしてもらいたいという狙いがある。
女性の活用はダイバーシティ経営(多様な人材を生かす戦略)を進める試金石として、企業のイノベーションの促進、グローバルな競争力の強化に貢献すると考えられており、今後、一層、注目が集まりそうだ。
ダイバーシティ経営といえば、三井住友フィナンシャルグループでは三井住友銀行が2008年4月にダイバーシティ推進室を設置。09年からはダイバーシティ・レポートを作成している。従業員の女性比率は2001年の合併時には3割弱だったが、職種の再編や新人の採用増加もあって12年3月に46%になった。三井住友銀行やグループ各社は、育児休業制度、看護休暇制度、短時間勤務など、法定を上回る制度を導入している。三井住友FGでは「持続的成長に女性の活路は不可欠」(人事部)と考えている。
その一方で、選定基準がいまひとつ分かりにくいとの指摘もある。