今回、同小学校において、いまだに、いじめが継続していることを確認した。学校側の職務怠慢の著しさを感じる。
なぜ、いじめはなくならないのか?
学校のみならず、これを統括・主導する教育委員会の閉鎖主義・独善性にも問題があるのではないだろうか。
●大阪市教委・指導主事「いちいち答えるつもりはない」
筆者は、先述のいじめ案件が「いまだ継続している」との情報提供を兼ねて、大阪市教育委員会初等教育課に電話取材を申し入れた。
「大勢で1人の児童をよってたかって殴る・蹴る」「鉄パイプで殴る」「清掃に用いたモップを顔に当てる」「雑巾がけに用いたバケツの水をかける」など、以前よりもいじめがひどくなっていることを、この小学校を担当する指導主事に伝えた。以下は、その際のやり取りだ。
–前回の同小学校のいじめ事案が発覚した際、担当指導主事として「一刻も早く、事態を収拾することが大事だ」とおっしゃいましたが、まだいじめが継続していることがわかりました。これについて、どのようにお考えですか?
指導主事 いちいち答えるつもりはない。記事に協力するために仕事をしているわけではない。
–いじめが継続しているとの事実を取材者として、同時に一市民としてさせていただいた。現在、大阪市内の小学校で、1人の女児児童を大勢の児童がよってたかって殴る・蹴る、「一軍、二軍、三軍」と子どもたち同士がグループ分けし、一軍の子は三軍を無条件にいじめていい、二軍の子は、態度がよければいじめられないなどのいじめ案件が確認されている。それについて教育委員会としては、どう対応されますか? それをお答えいただきたい。
指導主事 市民? あんた、大阪市民じゃないんでしょ? 何言ってるの? 大阪市民でもない人間に、いちいち、どうするこうすると話す必要はないんだけど。じゃ、電話を切らせていただきます。
こう話して、一方的に電話を切った。
●いじめ問題の情報提供を受けても動かない市教委
翌日、いじめ案件で揺れている小学校の関係者に連絡を取ると、教育委員会に「なんら動きはない」と話す。
指導主事の言ったとおり“大阪市民でもない人間”の話は聞けないのだろうか。いじめ事案の通報を受けても、なんの対応もせずに放置する実態が浮き彫りとなった。
ある大阪市の小学校教員は「学校であった問題は、教育委員会に行けばなんとかなるというが、実際は事態をややこしくするだけで、なんの解決にもならないことが多い。所詮は、校長・教頭になるのを順番待ちしているだけの指導主事が、役所でお茶を濁しているだけの場。とても、指導能力など期待できない」と話す。
こうした指導主事の対応について、政権与党に属する大阪府選出の国会議員に報告したところ、以下のような見解を述べた。
「指導主事といえば、学校教員が就く教育専門職の公務員。その者が、子どもに関する情報提供を、大阪市民でないとの理由で無視するとは言語道断。市長、市議会にも諮ってもらい、まずはいじめ事案の解決を優先し、そして本件を担当する指導主事の資質についても討議しなければならない」
筆者が大阪市教育委員会に「大阪市民でもない人間の話は聞けない」との発言について抗議したところ、当の指導主事から筆者に電話で「『大阪市民ではない』との発言が不愉快だと思われたのなら、私の至らなさにより、申し訳なく思う」と、実に歯切れの悪い、謝罪めいた電話があった。
こうしたお役所体質が、学校のいじめ問題をなかなか解決できない大きな要因になっていることは間違いない。一刻も早く、いじめ問題が解決することを切に願うものである。
(文=秋山謙一郎/ジャーナリスト)