国民健康保険の加入者は、現在、全国民の約27.5%。市町村および特別区が運営しており、加入者は住民票を登録している地方自治体に保険料を支払うことになる。
日本の社会保障制度については、国民年金が長らく問題になってきたが、実は国民健康保険も財政的にも非常に厳しく、滞納者の増加も問題になっている。2012年度の国民健康保険の滞納率は18.1%、東京都では24.1%と5世帯に1世帯が滞納しているのだ。
では、国民健康保険を滞納したらどうなるか? また、実際に収入が少なく払えない場合はどうするか?
まず覚えておかなくてはいけないのは、納期限が過ぎた場合には延滞金が生じる場合があるということ。また役所(市町村)からの通知書や電話などでの督促を無視して滞納を続けると、国民健康保険の有効期限が3〜6カ月間のみと極端に短い「短期被保険者証」という保険証に代えられてしまう。さらに、納期限から1年経過すると、「短期被保険者証」から「資格証明書」に代えられてしまう。「資格証明書」とは医者にかかった時に、とりあえず窓口で全額負担し、後日申請により自己負担分以外を支給してもらうというもの。現在、「短期被保険者証」の交付世帯数は6%を超え、「資格証明書」の交付世帯も1%を超えている。
●長期間の放置や悪質な場合は即差し押さえも
悪質な滞納と見なされた場合、最終的には「財産の差し押さえ」処分を受けることになる。「カネがないから払えないし、病院に行かないから払う必要もない」などと言っている人も、「差押予告通知書」が届いたあたりで、その深刻さに気づくようである。実際、差し押さえの件数は増加しており、現在、年間で約19万世帯、金額では700億円以上にものぼる。
ただし、悪質な滞納と見なされ「財産の差し押さえ」処分になるかどうかは、国民健康保険を運営する地方自治体の懐事情に左右されるといってもいいだろう。本当に余裕のない自治体のほうが、保険料の取り立てが厳しい傾向にある。
そのような事態に陥らないためにまずすべきことは、「役所に連絡して、現状をありのままに伝え、相談する」ことである。そうすれば、国民健康保険の「分割納付」や「減額・免除」についての説明をしてくれるはず。災害や病気などにより生活が著しく困難になった場合や、前年より大幅に所得が減った場合などに保険料の全部、または一部が免除される制度があるのだ。
総務庁の調査によると、2012年度、国保の減額対象となった世帯は約885万で加入者全世帯の43.7%、被保険者数は約1439万人で同41.5%。なんとこれほど多くの人が保険料の減額になっている。
日本は国民皆保険であり、日本国民は必ず何らかの健康保険に加入していることになっている。しかし、長引く不況の影響で経済的困窮者が増え、保険証を持っていない事実上の無保険者が存在する。そして、高額な医療費を支払うことができずに病気を放置して、死亡に至る事例も相次いでいる。とりあえず、支払いに困ったら役所に相談する。これが鉄則だ。
(文=チーム・ヘルスプレス)