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映画、物販、版権ビジネス…世界中で稼ぐディズニーとの違いとは?

ドラえもん、キティちゃん…海外で大人気でも“稼げない”ワケ

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 それに対して、日本はどうか?

 魅力的な人気のキャラクタ-やアニメ作品は数多く生まれたが、それらを成長ビジネスに結びつけ、海外でも通用するビジネスモデルに構築していこうとする戦略的な発想に欠けていた。

 米国はコンテンツ産業の売上高(50~60兆円)のうち、約17%(9~10兆円)を海外市場で稼ぎ出している。それに対して、日本は売上高(約14兆円)の4.3%程度(約0.6兆円)しか海外市場で稼いでいない。そのうち、95.5%はゲ-ム分野(ソフト・ハ-ドも含む)が占め、アニメ、音楽、映画などは数%を占めるにすぎない。日本のコンテンツには、「ドラえもん」「キティちゃん」「マリオ」「ビカチュウ」「ドラゴンボ-ル」「セ-ラ-ム-ン」「ポケモン」など、海外で高い人気のキャラクタ-、ゲ-ム、アニメは多くあるが、それらは必ずしも海外でも十分稼げる収益ビジネスに結びついていない。

 アニメの国内市場規模は2006年をピ-クに減少に転じつつあり、ゲ-ムのそれも08年を境に縮小傾向にある。それに対してアジアのコンテンツ市場は年平均7%以上の高い成長率で伸びており、世界のコンテンツ市場の成長エンジンとしての役割を果たしていくのではないかと期待されている。

 アジアのコンテンツ市場は、それだけビジネスチャンスも多い。そうした中で、せっかく海外で人気のある数多くのキャラクタ-・ブランドを持ちながら、日本の海外輸出比率が5%以下(米国の4分1以下)という低い数字にとどまっているのはなぜなのか?

 (1)これまで日本のコンテンツ制作会社は国内市場中心で、海外市場での輸出販売やマ-ケティング展開を強く意識してコンテンツを制作してこなかった。日本の制作会社が、海外市場に直接出て行ってビジネスを展開することは非常に少なかった。大半は海外企業から提案を受けて、それに応じる形でライセンス供与するのがメインであった。

 その理由としては、意識や言葉の壁、文化や習慣の違い、リスクを避ける傾向などが挙げられる。しかし、ディズニ-社など米国の制作会社は、当初から自社のコンテンツを世界中で大々的に販売することを前提に制作し、ビジネスプランを立てている。

 (2)そのため、自社のコンテンツが海外で受け入れられるよう、現地の法規制・言葉・文化・習慣・宗教などの違いを徹底的にマ-ケティング調査して、現地の人たちに違和感なく受け入れられるように、キャラクタ-やスト-リ-を柔軟にロ-カライズしている(現地ニ-ズに対応してアレンジしている)。

 特に、欧米では日本に比べてアニメ規制が非常に厳しい。例えば、少女の胸元が見えたり、下着が見えたりしては絶対にダメ。タバコは成人でもダメ。また日本で人気のガンダムが海外で人気がないのは、ロボットキャラクタ-そのものが欧米ではあまり受け入れられていないからだ。よって、コンテンツの企画制作段階から、いかに現地ニ-ズに配慮して柔軟に対応するかが求められる。こうした取り組みが日本の制作会社に欠けていた。そうした中で、サンリオのハロ-キティが世界で受け入れられている理由の一つは、現地のニ-ズに対応してハロ-キティのブランド・キャラクタ-のアレンジを柔軟に認めていることにある。

 (3)コンテンツビジネスの醍醐味は、コンテンツの輸出販売やライセンス供与にとどまらない。ディズニ-のビジネス戦略を見てもわるように、人気の高いキャラクタ-を使ったさまざまなグッズ販売(物販ビジネス)やテ-マパ-ク事業の展開など、人気キャラクタ-やブランドを使った商品化権を海外で販売する、版権ビジネスの利益が非常に大きい。一つのキャラクタ-を活用して多様なビジネスチャンスを生み出していく「ワンソ-ス・マルチユ-ス」の典型的なビジネスモデル(収益モデル)である。
(文=野口恒/ジャーナリスト)

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