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小林敬幸「ビジネスのホント」(12月22日)

KAWAii文化とは何か 3系統の分類ときゃりーの成功から、海外ビジネス戦略を考察

文=小林敬幸/『ビジネスをつくる仕事』著者
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●そもそもKAWAii文化とは

 筆者は2005年から、古典『枕草子』(清少納言)の「をかし」は「かわいい」と現代語訳するべきであり、世のすべての諸事を「かわいい」と「かわいくない」とで二分する現代の女子高生は清少納言の正統な後継者だと主張してきた。例えば、「春は曙がかわいい」「冬は昼下がりの白い灰ばかりの火鉢がかわいくない」などとなる。それは、作家・四方田犬彦氏が『「かわいい」論」』(ちくま新書/06年)において、「かわいい」の源流が11世紀の枕草子にあるとするのとほぼ同様の趣旨であった。

 四方田氏も言うように、約1000年間継承されてきた日本の「かわいい」という感性の本質は、まず「未成熟の肯定」にある。「枕草子」も小さいものは「みなうつくし」という。完全に明るくなりきらない春のあけぼのを高く評価するのも同じ感性だろう。そして、「未成熟の肯定」がわずかに転じて、「不完全の肯定」「非対称の肯定」につながっていった。

 よく言われるように、ギリシアの「完全と対称と均整による美意識」とは対照的に、日本の美意識は「不完全と非対称と不均衡」に趣向を凝らしてきた。それは、江戸時代の浮世絵に引き続き現代のアニメにも当てはめられ、人気キャラクターは未成熟の少女であり、ギリシア彫刻とは対照的に頭と胴と脚の比率が不均衡な「トトロ」(スタジオジブリ)であった。また、社会学者・上野千鶴子氏が『セクシィ・ギャルの大研究』(岩波書店/82年)で指摘したように、歌手・松田聖子が左右非対称の仕草で確立した「かわいこぶりっこ」は、その後の洗練を経てコンサバファッションになっていく。さらに、調和を拒否する感性は、きゃりーぱみゅぱみゅのポップな原色の使い方とメイクとファッションにつながっている。

 西欧の主流の美学と対照的なこのKAWAiiの感性が、海外の人々には新鮮で個性的な魅力に感じられているのだろう。

●KAWAii文化 3系統の違いと関係

 それでは、前述したKAWAii文化の3系統の違いを、ビジネスパーソンには馴染みの薄い「原宿青文字系」とそれ以外の違いからみてみよう。

 青文字系の最大の特徴は、エロスの拒否と個性の自由な発揮である。もともと、青文字系は赤文字系と違い、男に媚びず、男を意識しない。従って、エロスの要素が完全に消されている青文字系のプロダクションであるアソビシステムのタレントへの対応方針は、恋愛自由、水着禁止、ネット発信奨励である。対照的にAKB48では、恋愛を禁止しつつ、プロモーションビデオで全員が水着で登場し、明るいエロスが売りである。

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