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出光の昭和シェル買収報道は経産省の謀略?財務体質悪化の懸念で、実現は困難か

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 前出の関係者は「需要減少が明白な日本市場の魅力は、とっくに薄れている。ロイヤルにとって日本市場は今や投資の対象ではなく、投資回収の対象だ。昭和シェル株売却のタイミングを計っていたところへ出光が名乗りを上げた。ロイヤルにとっては渡りに船だったに違いない」と推測する。

●業界再編の圧力を強める経産省


 3つ目は、経産省の業界再編に対する意欲だ。昨年7月、石油元売り各社の本社オフィスは一様に緊張に包まれていた。その日、経産省が「10月までに原油処理能力の具体的な削減案を示してほしい」と、各社に圧力をかけたからだ。その目的は「産業競争力強化法第50条」による石油業界再編の加速だった。

 石油業界は10年に旧新日本石油と旧ジャパンエナジーの経営統合でJX日鉱日石エネルギーが誕生して以来、本格的な再編が滞っている。しびれを切らした経産省は、昨年1月に施行したばかりの同法を持ち出し、業界再編へ圧力をかけたわけだ。

 当初は「これまで、すでに08年比で20%も供給能力を削減している。これ以上の削減は競争力の低下を招く」(大手石油元売り関係者)と経産省の要請に渋っていたが、結局各社は昨年10月末にそれぞれ削減計画を提出した。

 それによると、JXは全国に7カ所ある製油所の一部を縮小もしくは閉鎖する。出光は、千葉製油所で日量5万バレル分を削減する。コスモ石油と東燃ゼネラル石油は、千葉県にある互いの製油所をひとつに統合する。昭和シェルは、国内3カ所の製油所のうち1カ所の供給能力を削減するようだ。

「わが国の製油所はアジア諸国に比べて規模が小さく、国際競争力が劣っている。このまま、需要が縮小する国内市場で石油元売り各社が競争を続ければ企業体力が消耗し、共倒れ倒産の恐れもある。そうなれば石油精製という基幹産業が空洞化し、エネルギー安全保障が揺らぎかねない。そうした最悪の事態を避けるためには業界再編を促し、国際競争力のある石油元売りを育てなければならない」というのが経産省の言い分だ。

 前出の業界関係者は「こうした経産省の政策を出光が先取りしたのが、4つ目の背景だ。今回の買収交渉について、経産省の高官が『業界再編の選択肢のひとつ』とコメントし、内心小躍りしていたのもうなずける」と指摘する。

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