健康コーポレーションが所在する新宿フロントタワー(「Wikipedia」より/Mountainlife)
当記事は、RIZAP(ライザップ)のトレーナーの8~9割がパートタイマーであり、スタッフが17時間休まず働かされ、さらにトレーニングや減量指導に不満を持つ会員が返金交渉で苦慮したといった内容を報じている。
これに対しライザップを経営する健康コーポレーションは、新潮社に対し厳重抗議を行うとともに、記事の撤回と謝罪を求めると発表している。
そこで今回、筆者は当該記事に関して実際に新潮社から取材を受けた複数の人物に接触したところ、ライザップとマスメディアの関係が透けて見えてきた。
スポンサー・タブー
実は今回の「新潮」による報道以前にも、ライザップにまつわるネガティブな報道の動きがあった。番組制作会社関係者のA氏は語る。
「当社はドキュメンタリー番組の制作を手掛けていますが、『ライザップのトレーニング方法は非常に危険である』という告発が同業者から相当数あったのです。その告発を受けて独自に取材を進めた結果、『短期間での体形変化は、実は健康に悪い』という結論になり、番組企画をテレビ局に提案しました。しかし局側からは、『ライザップは貴重なCMスポンサー、こういう企画は困る』と言われ、却下されてしまったのです。現在ライザップは大量のテレビCMを流しており、広告収入が厳しいテレビ業界がライザップに否定的な報道をすることはできないでしょう」
また、大手出版社の週刊誌記者を務めるB氏も、「雑誌も広告が非常に厳しい中、ライザップは貴重なスポンサーなので、同社を否定する記事はとても掲載できないです」と明かす。
ちなみに今回新潮から取材を受けたジム業界関係者C氏によれば、取材をめぐり、奇妙な現象が見られたという。
「他社の記者も、相当取材協力をしていました。自社の雑誌のスポンサーに牙をむくのはご法度でも、記者魂が黙っていなかったのでしょう」
誇大広告の可能性
今回の新潮の取材先のひとつで、消費者問題の専門家でもあるD氏はこう説明する。
「ライザップのようなダイエットに限らず、エステや語学学校、SEOなどのサービスを提供する『役務提供業者』には、『効果がわかりにくい』などのクレームがつきもので、クレジット会社との取引ができず、ローンが組めません。そこでライザップは自社割賦という仕組みによって、債権回収をするやり方を採用しています。しかしこれはリスクが高い。その証拠に、ライザップの自社割賦の金利は19.8%と非常に高金利です。昨今は弁護士事務所でも債権回収に苦労している時代なのに、一民間業が債権回収をするのは難しい。これは経営的にはリスクです。