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最高益・花王が抱える「深刻な問題」と「疫病神」

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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 カネボウの繊維事業を買収し、真っ先に事なかれ主義の旧カネボウ社員の意識改革に取り組み、1年余りでカネボウの繊維事業を成長エンジンに変えた繊維メーカーのセーレンと対照的といえる。

 買収したカネボウ化粧品事業を持て余し、その経営改革を先送りしていたツケが回ってきたのが、13年7月に発覚し社会問題化したカネボウ美白化粧品の「白斑問題」だ。これでカネボウ化粧品のブランド力は地に墜ち、その煽りで花王のソフィーナの客離れも進んだとされる。

「化粧品大改革」の号令

 「ブランド力回復不可能」とまでいわれた白斑問題で化粧品事業が深刻な打撃を受けて2年。表面的には赤字幅も狭まり、傷はだいぶ癒えてきたかにみえる。だが、販売現場での花王社員とカネボウ社員の対立、白斑問題などでもたついているうちに、看板ブランドのソフィーナはコーセーなど化粧品専業大手の製品群との差別化要素が薄れ、化粧品事業参入当初の業界イノベータ的存在感がなくなった。さらにスキンケア化粧品分野で台頭してきた富士フイルム、「無添加化粧品」で台頭してきたファンケルなどにも追い込みをかけられている。

 白斑問題が社会問題化したのをきっかけに、花王は生え抜きの夏坂真澄氏をカネボウ化粧品の社長に送り込み、品質保証・顧客相談窓口の統合、新安全基準導入、顧客情報管理システムの運用改善などの経営改革を進めている。だが、「いずれも対症療法的な制度改革に終始しており、長年染み付いた風土改革にまで切り込んでいない。カネボウ社員の花王に対する面従腹背は相変わらず変わらない」(業界関係者)という。

 さらに花王の「化粧品大改革」も、澤田社長が示した具体策は銀座の情報発信拠点開設とソフィーナ新製品発売だけ。それ以外は何も示していない。これには株式市場の一部でも落胆の声が聞かれる。

 化粧品業界担当の証券アナリストは「花王は本気で化粧品事業を育成しようとしているのか。お荷物のカネボウ化粧品の改革を早急に済ませないと、何をやっても中途半端に終わるのではないか」と、不安視している。
(文=田沢良彦/経済ジャーナリスト)

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