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金子智朗「会計士による会計的でないビジネス教室」

なぜ成果主義は失敗するのか?売上、利益…間違った「財務的」成果主義を捨てよ

文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表

 そもそも、「営業部門は売り上げを上げる」というのも幻想に近い。営業部門が単独で売り上げを上げているわけではないからだ。間接部門が会社としての基盤を支え、製造部門が製品をつくるから、営業部門はその製品を売れるのだ。ほとんどすべての財務的指標は企業活動の総体として生まれる。したがって、財務的指標に責任を持てるのは、本来経営者だけだ。各部門の担当者は、行動指標を満たしたならばそれで評価されていい。担当者に過度に財務的成果を求めるからおかしなことになるのだ。

前提となる役割定義

 非財務的成果主義なら、間接部門も成果主義に基づいて評価できる。ただし、そのためには各部門、各個人の役割定義が前提となる。それは、何をやるべきか、何はやってはいけないかという定義だ。

 例えば、営業部門のやるべきことは「売り上げを上げること」なのか、「本当にお客様のためになるものを提供すること」なのか。どちらに定義するかによって、企業の行動はまったく異なってくる。そして、絶対にやってはいけないことは不正だ。「利益という数字を上げること」が役割だと勘違いした企業は不正に走るのだ。

 経理部門についていえば、やるべきことは「決算書を作成すること」なのか「経営参謀になること」なのか。後者だと定義し、決算書作成業務を大幅にアウトソーシングした社長がいた。そのような会社では、いくらまじめに決算書を作成してもまったく評価されないことになる。

 問題なのは、毎日会議ばかりをしていたり、なんらかの作業をこなしているだけの人たちだ。そのような役割定義は知識労働者にはない。少なからず存在するそういう人たちも含めて「ホワイトカラー」と言っているところが一番の問題だろう。
(文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表)

金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表

金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表

1965年神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業。東京大学大学院工学系研究科修士課程卒業。卒業後、日本航空(株)において情報システムの企画・開発に従事。在職中の1996年に公認会計士第2次試験合格。同年プライスウォーターハウスコンサルタント(株)入社。2000年公認会計士登録し、独立。2003税理士登録。2006年ブライトワイズコンサルティング合同会社(www.brightwise.jp)設立、代表社員就任(現任)。
ブライトワイズコンサルティング

Twitter:@TomKaneko

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