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鈴木貴博「経済を読む目玉」

バターは本当に不足してるのか…なぜ価格バカ高く?管理機構は巨額差益

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
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 ここまでは事実というよりは、疑いとして「そうなりがちだ」という話をしているだけです。ローソンの担当者がおっしゃる「供給が8割」というほうが、政府の言う「供給不足は解消されている」という言い分よりも正しく思えるという話です。

 しかし、経済学を使うと、この疑いが間違いではない証拠が見つかります。経済学の教科書によれば、需要よりも少なく供給制限が行われていると、以下の2つの事象が起きます。

(1)消費者が購入する価格が市場価格よりも高くなる
(2)生産者が売る価格と消費者が買う価格が開いて、その間に数量の管理の利権を持っている人が得られる「ウェッジ」と呼ばれる利益が出現する

 もしバターにこの2つの現象が起きていれば、政府がなんと言おうとバターの供給不足が起きていることになります。

やっぱりバターは不足してる?

 では、実際はどうでしょうか?

 私の近所のスーパーに行くと、バターは確かに棚に並んでいます。あいかわらず「おひとり様、ひとつまで」と注意書きが掲示されていますが、かつてのようにバターがまったく買えないわけではありません。

 ところが、「よつ葉バター」(よつ葉乳業)のパッケージを手にとると、一箱388円(税込)と以前よりはずいぶん高い気がします。いや、それ以上に何か軽い気がしてパッケージを眺めてみると、いつのまにかバター1箱の数量は150グラム入りになっています。

「確か、以前は1箱200グラムだった」と思って計算し直すと、もし200グラムなら1箱517円ということになります。つまり、バターの価格は以前よりもずいぶん値上がりしているのです。経済学の教科書にある(1)は、その通り現実に起きていることがわかります。

 では、(2)はどうでしょうか。

 新聞報道によれば政府が昨年10月までに緊急輸入をしたバターについての入札結果がわかっています。それによれば、緊急輸入したバターをALICが商社から購入した平均価格は200グラムあたり120円。このバター、同時入札で乳業会社に販売しているのですが、その価格が200グラムあたり278円。

 この278円というのは、国内の卸売価格より1割ほど高いそうです。いずれにしても、乳業会社がこの仕入れ価格でバターをパッケージにして販売し、その小売価格が我が家の近所では517円になっているということです。

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、03年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。主な著書に『日本経済復活の書』『日本経済予言の書』(PHP研究所)、『戦略思考トレーニング』シリーズ(日本経済新聞出版社)、『仕事消滅』(講談社)などがある。
百年コンサルティング 代表 鈴木貴博公式ページ

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