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椎名民生「不動産ビジネス最前線」

旅行で1泊5千円で住居貸切のエアビー、驚愕のトラブル続出で危険事態!前日ドタキャンも

文=椎名民生
旅行で1泊5千円で住居貸切のエアビー、驚愕のトラブル続出で危険事態!前日ドタキャンもの画像1「Thinkstock」より

 一般住宅に旅行客を有料で泊める「民泊」仲介の世界最大手、米エアビーアンドビー(以下、エアビー)は6月15日、2015年の日本での事業の経済効果が5207億円になったとする推計を発表した。

 日本政府も20年に開催される東京オリンピックを控えて、民泊の全面解禁に向け旅館業法上の許可なしで誰でも部屋を貸し出せるようにする制度案をまとめた。また、仲介ビジネスについて、提供者と利用者の間のトラブル防止に向け、業界団体などによる自主的なルールづくりを促すため、証明書などによる身元の確認や補償制度などを盛り込んだ指針を秋までにまとめる方針だという。

 筆者は、日本の国内出張でもエアビーを使っているが、今回、1カ月のアメリカでの研修の予定が入った。そこで、エアビー利用に挑戦してみたので、そこから得られる教訓をご紹介したい。これから夏休み、海外でエアビーを利用しようと考えている人も多いだろう、参考にしていただければ幸いだ。

 世界有数の大学での研修だった。現地の大学は夏休み中であることから、又貸し(サブリース)のアパートメントも豊富だ。ホテル滞在だと1泊2万円はかかるが、エアビーを利用すれば7000円から1万円で宿泊できる。アパートの1部屋を貸し切りにできる「まるまる貸切」でこの値段だ。

柔らかすぎるベッドで腰痛に……

 1カ月のうち最初の1週間は約9000円のアパートを予約した。研修先の大学の校舎から徒歩数分。聞けば、居住者のほとんどは、その大学の近くの校舎の利用者だという。夏休みということもあって、ほとんど居住者はおらず静かだった。

 エアビー前であれば、こうした物件の居住者とはこまかい条件面を詰めるサブリース契約のやりとりをする必要があったが、エアビーでは条件面の確認から、お金の受け渡し(クレジットカード決済)もワンクリックで済んでしまうのだ。

 まず注意したいのは、カギの受け渡しの確認だ。いつ、どのような手順で受け渡しをするのかを早めに確認しておきたい。前日にホスト(貸主)との連絡がとれず、カギのやりとりに手間取ることが多い。カギは郵便受けに入っているパターンがほとんどで、これはアメリカも日本もあまり変わらないが、確認はしておきたい。また、ホストからメールではなく、メッセンジャーアプリの「WhatsApp」でのやりとりを求められることもある。

 利用したアパートは2LDKで、一人では部屋が余ってしまう広さだった。台所設備も使え、冷蔵庫も大きかった。早速、大型スーパーやファーマーズマーケットで新鮮な食材を買いこみ、冷蔵庫に詰め込む。コストが高く栄養が偏りがちな食材に気を使えるのはうれしい。大型冷蔵庫を使えるというのは、ホテルとの大きな違いだ。

 しかし、エアビーでは「洗濯機・乾燥機あり」と書かれていたが、室内を確認してみると見つからない。ホストに聞いてみると共用だという。今回宿泊した3件のエアビー全部がそうだったが、1回の使用で1~2ドルと高くはないものの、日本の感覚で部屋に洗濯機・乾燥機があると思って、行ってみると10室程度あるアパートで2台の洗濯機・乾燥機を奪い合わねばならないのはつらい。使用料も、1~2ドルを25セントコインで用意しなくてはならないので、早い段階でホストに共用を前提として洗濯機・乾燥機の台数とその金額を確認しておきたい。

 なお、アパートにはベッドもあったが、ベッドが柔らかすぎて一晩寝ただけで腰痛になってしまった。リビングに大きなソファがあったので、寝るときもそちらを利用することにした。結局、リビングしか利用しない1週間だった。

 また、ホテルでは午前中は掃除の時間となってしまい、クリーニングスタッフに気を使わなければならないが、エアビーではほかの居住者は朝、仕事や学校に出てしまうと、その後はとても静かな時間になるのも魅力だ。

宿泊前日にドタキャンされホテル宿泊に変更

 2週目は、少し安めのエアビー物件に挑戦しようと日本円で7000円台の物件を予約した。それでも、研修先から歩いて数分だ。こうしたホテルもない場所で、気軽に泊まることができるのもエアビーの魅力だろう。

 予約は宿泊の1週間前に行っていたが、宿泊の前日にホストと連絡がなかなかとれない。やっときた連絡は「部屋の都合がつかずキャンセルしたい」というものだ。

 実は、思い当たるフシはあった。そのホストに関するレビューで、過去に2回ほど「ホストによる予約キャンセルが発生しました」という自動生成のコメントが掲載されていたのだ。ドタキャン癖のあるホスト、まさか自分が予約キャンセルに遭うとは思っていなかった。

 エアビーからは、ドタキャンのおわびとして5000円分が支払われ、代替のエアビー物件を探してくれるというが、直前すぎるので近所のホテルに1週間宿泊することにした。今回の旅行は移動が少なかったため、すぐにホテル予約などの対応ができたが、移動が多い旅行でホストからドタキャンを見舞われるとたまったものではないだろう。

 3週目も日本円で7000円台の物件を利用した。その物件を利用する際も、直前になっても先方から返事が来ず、嫌な予感がした。そして、その予感は的中したのだった。その実体験を次回、紹介したい。
(文=椎名民生)

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