
日本人にとって最も身近な飲み物といえる緑茶。なかでも、コンビニエンスストアなどに並ぶ「ペットボトル緑茶」は、キャップを開けるだけの手軽さに加え、後味がよく、すっきりと飲めることから、世代を問わず人気が高い。
最近では、飲料メーカー各社も相次いでペットボトル緑茶のブランド刷新を行い、新商品を投入。飲料総研の調べによると、2015年の緑茶飲料の市場規模は、前年比5.0%増となる約2億4000万ケースに伸びたという。なぜ今、飲料メーカーの間でペットボトル緑茶の競争が激化しているのか。
お~いお茶がシェア40%の緑茶飲料市場
「1970年代までは、コンビニで売っているお茶といえば缶入りの麦茶でした。それが、90年代にペットボトルの緑茶が登場すると一気に麦茶を追い抜き、どんどんシェアを拡大していったのです」
そう話すのは、コンビニ評論家の田矢信二氏だ。田矢氏によると、現在のペットボトル緑茶人気の火付け役となったのは、キリンビバレッジの主力ブランド「生茶」だという。
「『生茶』は、うまみ成分のテアニンなどを豊富に含む『生茶葉抽出物』を使用した緑茶として、2000年に発売されました。CMで松嶋菜々子が手にはめていたパンダの人形が『生茶パンダ』として人気になり、関連グッズが軒並み売れるなど、大ヒットを記録します」(田矢氏)
しかし、04年をピークに「生茶」の売れ行きは下降する。そこで、キリンビバレッジは今年3月、パッケージやボトルデザインを一新し、従来より茶葉を細かくカットして香りとうまみを際立たせるなど、ブランドをリニューアル。その結果、発売1カ月で計画を上回る260万ケースを突破するなど、予想以上に売り上げを伸ばし、再び緑茶飲料市場の牽引役となっている。
「『生茶』に続いてペットボトルの緑茶飲料市場に登場したのが、サントリーと京都福寿園のコラボによって開発された『伊右衛門』です。福寿園の茶匠が厳選した茶葉だけを使用したというプレミアム感が消費者の心をつかみ、期間限定のバリエーションも登場するなど、ヒット商品になりました。
サントリーは、それまでペットボトル緑茶で何度も失敗していたのですが、『伊右衛門』のヒットにより、やっとその負のスパイラルから脱することができたのです」(同)
そして、この「伊右衛門」の成功を見て07年にペットボトル緑茶に参入、生まれたのが、やはり緑茶では苦戦していた日本コカ・コーラの「綾鷹」だ。