
広告代理店最大手、電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が過労により自殺に追い込まれた問題を受け、14日には東京労働局が従業員の労働実態を調べるため、同社への立ち入り調査を行った。高橋さんはSNS上で「もう4時だ 体が震えるよ… しぬ もう無理そう」「1日の睡眠時間2時間はレベル高すぎる」「土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい」などと投稿していたことがわかっており、休日や深夜の残業が続いていたことがうかがえる。
電通社員の労働実態について、同社社員・Aさんは語る。
「私が以前在籍していた部署では、終電前に帰宅できたことはほとんどありませんでした。その部署では、私も土日含めて毎日朝4~5時頃まで働く日が2週間ほど続くこともしばしばありました。こうした長時間労働は新入社員も同様で、電通内では常態化しており、ある種の文化となっています」
高橋さんの部署も、そのような過酷な環境だったのであろうか。
「高橋さんがいたダイレクトマーケティング・ビジネス局デジタル・アカウント部は、インターネット広告関連の事業を扱う部署ですが、電通の花形事業といえば、売上規模が突出しているテレビを筆頭に、ラジオ、新聞、雑誌の“4マス”向けの広告。ここ最近急拡大しているネット広告市場で、電通は明らかに後れをとっています。そのため、ネット関連の部署はそもそも慢性的な人手不足であるのに加えて、他社に遅れをとっている分、社内で求められるパフォーマンスも重い。結果として無理が生じて、異常な長時間残業が常態化し、新入社員である高橋さんのケアにまで誰も思いが至らなかったことは、容易に想像できます」(同)
Aさんよれば、電通では社員の残業時間は月70時間に設定されているというが、なぜこうした長時間残業が許されてしまうのだろうか。ちなみに高橋さんの遺族の弁護士によれば、入退館記録を基に集計した高橋さんの残業は、昨年10月が130時間、同11月が99時間に上るという。
「月100時間の残業を超える社員はザラにいますが、私も毎月概ね70時間を超えないくらいの時間で会社には申告しています。部署にもよりますが、部署内での“阿吽の呼吸”で、“70~80時間以上の残業申告はNG”という暗黙のルールがあるのです」(同)