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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

東芝が世界に誇った半導体事業、中国企業が買収するのか…トランプ米大統領が妨害も

文=湯之上隆/微細加工研究所所長

 XMCは、昨年秋からスパンションと共同で、3次元NANDの開発に着手した。しかし、2次元NANDも製造したことがないため、その開発には苦労している。それゆえ、サムスン電子の3次元NAND量産の拠点となっている中国の西安工場から、サムスン電子の技術者を高年俸でヘッドハンティングするなど、技術を入手しようとあの手この手を使っている。

東芝メモリの3次元NANDが欲しい紫光集団

 このようなXMCを傘下に持つ紫光集団にとって、東芝メモリの3次元NANDの技術はのどから手が出るほど欲しいに違いない。加えて、紫光集団は自身が5兆円の資金を持っている上に、その背後には、中国が自国の半導体強化のために設立した18兆円ものIC基金がある。資産価値が1.5兆円と見積もられている東芝メモリを丸ごと買ってしまうことも、実にたやすいことなのだ。

 現在、東芝メモリの買収には、東芝とNANDを共同開発・製造しているWD、マイクロン、韓国SKハイニックス、シャープを買収した台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)などの企業が名乗りを上げているという。しかし、WD、マイクロン、SKハイニクスは、NANDメーカーであるため、独占禁止法に抵触する。また、1.5兆円もの買収資金をポンと出せるとも思えない。

 そのなかで、独占禁止法に抵触せず、買収資金も潤沢なのは、ホンハイと紫光集団の2社しかない。そして、上述したように、紫光集団には東芝メモリの3次元NANDを手に入れたい強烈なモチベーションがある。

 このような事情から、紫光集団が札束を積んで、東芝メモリを買収にくるのではないかと予測している。東芝は可及的速やかに債務超過を回避したい。それゆえ、1.5兆円のキャッシュを目の前に積まれたら、その札束に目が眩むかもしれない。

 そして、もし本当に紫光集団が東芝メモリのNAND事業を買収にきた場合、米国政府、特にトランプ新大統領がどのような反応を示すかに筆者は注目している。その理由を以下に示す。

米国政府の動向

 16年、オバマ大統領は、半導体の専門家から成る大統領科学技術諮問委員会(PCAST)に、米国の半導体産業に影響を及ぼしている重要課題に関する調査を命じた。PCASTには、著名な大学教授のほか、IT企業のグーグル、そして米国の主要な半導体企業のインテル、グローバルファンドリーズ、フリースケール、クアルコム、アプライドマテリアルズの幹部らが名前を連ねている。

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