
6月10日の米国株式市場では、IT・ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数が前日の引け値から1.8%下落したことが注目を集めた。この日、ニューヨークダウ工業株30種平均株価は0.4%上昇し、S&P500指数は横ばいだった。それだけに、ナスダックの急落は目立った。急落の原因は、アップルの新型スマートフォンの発売が遅れるとの見方や、有力証券会社のレポートでネットワーク企業の株価が割高との判断が出たことなどがある。それを受けて、グーグルの親会社であるアルファベットなどのネットワーク企業銘柄が売られた。米国の株式市場全体が史上最高値圏で推移していただけに、利益確定の売りも入りやすかったと推察される。
ただ、ネットワーク関連銘柄は相対的に今後の成長への期待が強いセクターでもある。特に、世界のファンドマネージャーの多くは、インターネット空間を中心とした“ネットワーク”の可能性に注目している。私たちの身の回りを見渡しても、自動車の自動運転技術や人工知能の活用など、ネットワークと連動する新しいコンセプトの実用化に向けた取り組みが進んでいる。そうした期待があるから、政治不安があるなかでも米国の景気回復への期待が支えられていると考えることもできる。
注目を集めるネットワーク企業
今、世界の投資家は米国のIT・ハイテクを基盤としたネットワーク企業の成長に注目している。その関心は、ネットワーク技術の開発がもたらす、社会的な変革への期待と言い換えられる。米国の株価はこれまでには存在しなかったネットワーク、それを支える技術への期待があるから上昇していると考えられる。
一般的に、ネットワークとは複数の要素が網のように相互に接続されたことと定義される。通信ネットワークという場合、インターネット環境に複数のサーバーを接続し、情報をやり取りすることをいう。
従来にも増して日常生活やビジネスにネットワークが浸透すると、私たちの行動に関するより多くの情報を集めることができるだろう。たとえば、消費や投資、気候変動などに関する膨大なデータを集め、それを分析する。それによって、知られていなかった行動パターンが解明される可能性がある。
このデータがビッグデータだ。ビッグデータの定義には不確定な部分があるといわれているが、量と質の面で従来のコンピューターでは分析することに限界があるほどの膨大な情報、データと考えればよいだろう。ビッグデータを使い需要を発掘するためには、多くのデータを短時間で、ユーザの使用目的に合うよう統計処理を施さなければならない。