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もはやサラ金のほうがマシ…貧困層を食い物にする銀行カードローンが破産者を量産している

構成=長井雄一朗/ライター

――銀行がサラ金化した背景には、日本の貧困と格差という問題があるのですね。

宇都宮 貧困と格差は、ますます広がっています。豊かな人はより豊かに、貧しい人はより貧しく……日本の社会が二極化していると考えてください。

 実は、サラ金が社会問題化した70年代のほうがよかった面もあります。当時は会社員といえばみんな正社員の時代です。会社の福利厚生も手厚く、まじめに働いていれば年功序列と終身雇用が保障されていました。

 しかし、今や日本の労働人口の約4割が非正規社員です。2008年のリーマン・ショック後には、多くの派遣社員が“派遣切り”に遭い、貯金を食いつぶしながらネットカフェやカプセルホテルに長期滞在する人が続出しました。そのため、年末年始にかけて避難所の「年越し派遣村」が開設されたことを覚えている人も多いでしょう。

 貯蓄ゼロ世帯は、1980年代の約5%に対して最近は約30%に増えています。3世帯に1世帯が貯蓄ゼロというわけです。子どもが大学に進学するための学費を工面することができないケースも増えています。そのため、大学生の2人に1人が奨学金を活用しています。

年収800万円でも借金2000万円以上…

――多重債務者のケースとしては、どのようなものがありますか。

宇都宮 月収20万円(年収240万円)の50代の方は、転職がきっかけで多重債務に悩まされています。借金は400万円で年収の2倍近くで、金利を払うだけでも大変です。返済は毎月5万円ですが、それでも元本は減りません。

 もう1人は年収800万円ですが、2000万円以上借りています。本来、この方の場合はサラ金であれば260万円までしか借りられないのですが、銀行カードローンは総量規制の対象外なので、借金が膨れ上がってしまったわけです。この方は子どもの教育にお金をかけて、借金が積み重なりました。

 おおまかに、国立大学の4年間の学費は約250万円、私立大学では約500万円かかります。自宅からの通学ではなく下宿の場合は、さらに費用がかさみます。

――日本は社会保障が不十分といわれますが、その影響もありそうですね。

宇都宮 先進国では、大学までの学費は無料になっている国が多い。ヨーロッパや北欧では、奨学金は返済不要の給付型で、支払いが必要なのは教育ローンと呼ばれています。また、医療費も保障されているケースが多いです。ドイツやフランスには、日本のようなサラ金業者はありません。貧困や格差を是正するためには、国や自治体がしっかりと社会保障を行うことが肝要です。

 ただ、70年代のサラ金問題と違うのは、今は借金を返済しても最終的な問題解決に至らないということです。70年代は、借金を返した後は新たな出発をすればよかった。しかし、今は借金を整理してもその後の生活が問題です。非正規雇用、ブラックバイトやブラック企業の問題などで心身を痛めつけられ、困難を抱えている人が多く、借金整理後の生活再建を支援しなければならない人が増えています。

 今は、「給料を払って人材を使い捨て」というドライな考えの企業もあり、社会全体が分断し、人々は孤立を深めています。今こそ、国や自治体が社会保障に力を入れるときです。

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