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電通の過労死裁判、「人の命が失われても罰金50万円」が象徴する日本の現実

文=深笛義也/ライター
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「過労が続いてうつ状態に陥ったまま働いていると、『辞める』『逃げる』などの選択肢を取ることすらできなくなってしまいます。そのため、元気なうちに、自分の状況を把握するために労働時間を正確に記録しておいたほうがいいでしょう。

 職場の環境や働き方が少しでもおかしかったら、『自分で変えていく』という意識も必要です。労働組合があったり同じような状況の仲間がいたり、変えられる環境があるのであれば、職場の状況を変えていくのが一番いいでしょう。

 変えられない場合は、何も会社に命を捧げる必要はないので、転職などを検討すべきです。病気になったときは、普通の企業であれば休職の制度があるため、そういった制度についてあらかじめ知っておくことも大事です。

 健康保険組合などから傷病手当金として一定の金銭を得ることもできるので、当面の生活を維持することもできます。また、労災申請をして認められれば労災給付金が支給されます。おおまかにでもいいので、そういった制度や手続きについて知っておくといいでしょう」(同)

「労災認定が難しい」裁量労働制に潜む危険

 長時間労働や過労死をめぐる問題は、後を絶たない。

 最近も、13年に死亡したNHK記者の佐戸未和さんが14年に過労死認定されていたことが発表された。佐戸さんの死亡前1カ月間の時間外労働時間は過労死基準を大幅に上回る約159時間、休日は2日間だったという。NHKは記者に事業場外みなし労働時間制を適用していたが、今年4月からは裁量労働制を導入するなどの対策を講じている。

「裁量労働制では、労働時間の記録がおろそかになり労災の認定が難しくなるケースがあります。また、会社側が社員の労働時間を記録していないケースも多いです。会社には健康配慮義務があるので、本当は記録しないといけないのですが……。特に裁量労働の場合は、自分がどういう状況にいるのかを客観的に知るために、自ら労働時間を記録しておいたほうがいいでしょう」(同)

 仕事によって命を奪われないためにも、まだまだ自分で自分の身を守ることが大切だ。
(文=深笛義也/ライター)

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