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「便利で安い」アイリスオーヤマ、誰も知らない究極の同族経営…町工場から年商5億円へ

文=編集部
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名物社長の七転び八起きの人生

 健太郎氏は立志伝中の人物だ。大阪府布施市(現東大阪市)で在日韓国人2世である大山森佑氏のもと、男5人・女3人の8人兄弟の長男として生まれた。1964年父が急逝したため、19歳で家業のプラスチック成形工場の大山ブロー工業所を引き継いだ。

 学友たちが学生生活を謳歌している姿に悔し涙を流したという。その時の悔しさがハングリー精神に昇華。必死に家族を養い、弟たちを大学まで進学させた。「このまま下請けの町工場で終わりたくない」との思いから、プラスチック製の養殖用のブイや農業向け育苗箱をつくった。これが軌道に乗り、東大阪の工場が手狭になったため、仙台に新工場を建設した。27歳の時だ。

 1973年の石油ショックで、石油がなくなるという恐怖感からプラスチック製品が飛ぶように売れた。仙台の新工場はフル稼働。しかし、石油価格が反落するとプラスチック製品が売れなくなり、在庫の山となった。手形が落とせず、倒産寸前に追い込まれた。東大阪の工場も売却して借金の返済に充て、150人いた従業員の半分は辞めてもらった。一番つらい時だった。

 何を製造して経営を再建するのか――。健太郎氏が目をつけたのは、園芸用のプランターだ。これをホームセンターに持ち込んだところ、DIY(日曜大工)以外の新しい商材を求めていたホームセンター側は飛びついた。81年からプランターや、簡単に巻き取れる水まきのホースなどの園芸用品を発売した。

 87年に発売したプラスチック製犬小屋が当たり、翌88年に発売した家庭用のプラスチック収納容器も大ヒットした。アイリスはホームセンター向けプラスチック製品のメーカーとして急成長を遂げていくことになる。

BusinessJournal編集部

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