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銀行の公平な競争を歪める、金融庁と菅官房長官の「圧力」

文=編集部

公取委に圧力をかける金融庁

 森信親金融庁長官は、7月には退任する。ふくおかFGと十八銀行の合併を、なんとしてでも実現して置き土産にするつもりだ。

「金融庁が銀行の経営統合について、事前の審査と事後の検証を担う枠組みをつくれ」という提言を受けて、金融庁は独自に審査する態勢を整え、公取委への反論材料にする考えだ。

 公取委が統合を認めず、金利競争を続けている地域銀行の体力が消耗すれば、地域経済にも悪影響を及ぼすことになるという懸念ももっともではある。日本銀行のマイナス金利導入政策が地銀の経営にダメージを与えているという前提を議論しないで、地域銀行の体力の消耗を語るのは不十分だろう。

 公取委が問題視しているのは、ふくおかFGと十八銀行の経営統合計画だけだ。「統合を認めなければ、町村によっては金融機関がひとつも存続できなくなる恐れがある」という検討会議の指摘は的外れだ。なぜなら、長崎県の離島のなかには、郵便局以外に金融関連機関がないところがすでにたくさんある。この統合を認めたら、新しくできる金融機関のシェアが、ほぼ100%になるところがいくつも出てくる。長崎県内における法人向け融資のシェアが7割に達するのは、市街地での実例。占有率が100%になる地域が多数出る合併には、やはり一定の歯止めをかけなければならない。

 どうしても経営統合を実現したいのであれば、ふくおかFGのドン・谷正明会長が、公取委の主張にもっと耳を傾けて、譲るべきところは譲らないとまとまらないだろう。

 金融庁や同庁の有識者会議の提言を錦の御旗にして公取委に圧力をかけるのは“北風”の論理であって、“太陽”路線が欠落している。

 菅義偉官房長官が金融庁の有識者会議の提言を尊重するような発言を記者会見でしていた。菅氏と森氏はツーカーの間柄だが、こうした“上から目線”で圧力をかけ続ける手法では、問題の根本的な解決は遠のくばかりだ。

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