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安倍政権の改正酒税法で居酒屋や酒屋の倒産が激増…安易に値上げもできず困窮

文=長井雄一朗/ライター
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安倍政権の改正酒税法で居酒屋や酒屋の倒産が激増…安易に値上げもできず困窮の画像1「gettyimages」より

 2017年6月1日に「改正酒税法」が施行されてから1年以上が過ぎた。同法は酒類の過剰な安売りの規制を目的としたもので、継続的に総販売原価を下回る価格で販売することの禁止、ビール各社がスーパーマーケットなどの量販店に対して支払っていた販売奨励金(リベート)の規制などが行われる。

 また、アサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリービールの大手4社は、今年3~4月出荷分から業務用を中心にビール系飲料の値上げに踏み切っている。その理由は、物流面でのコスト上昇だ。

 改正酒税法やビールメーカーの値上げに加えて、今は人手不足により人件費も高騰している。そのため、鳥貴族など一部の居酒屋では値上げの動きも見られ、「改正酒税法やビールメーカーの値上げで、経営環境は明らかに悪化した」(居酒屋オーナー)との声も聞かれる。

 帝国データバンクの「酒類販売業者の倒産動向調査」によると、2017年度の「酒類販売業者」(酒類卸、酒類小売、居酒屋)の倒産件数(負債額1000万円以上、法的整理のみを対象)は前年度比23.1%増の176件で4年ぶりに増加した。改正酒税法やビールメーカーの値上げは、どう影響したのか。同社東京支社情報部の山口亮氏に聞いた。

改正酒税法で関連業者の倒産が増加

 今後、昔ながらの格安居酒屋や“町の酒屋さん”が経営に行き詰まり、バタバタと倒産していくかもしれない。改正酒税法やビール業界の値上げのインパクトは大きく、「280円均一」が売りだった鳥貴族は2017年10月から全店で全品298円(税別)の値上げに踏み切った。

 酒類卸業界の中には「これで値上げに踏み切れる」と鳥貴族の値上げや改正酒税法を歓迎する向きもあるが、状況は以前から厳しいようだ。

 2017年9月には、茨城県で最大手の酒類卸売業者・細野西蔵が裁判所から特別清算開始決定を受けた。負債総額は約30億円。同社は商材の拡充や業態の維持拡大に務めてきたが、少子高齢化や若者のビール離れによる需要減少に加え、大手流通業者によるプライベートブランド(PB)商品との競合により、売り上げが減少していたという。

 実際、酒類卸業界内からは「安いPB商品との競争は厳しい」という声も聞かれるのが実情だ。2018年1月には神奈川県の老舗酒類卸問屋・ナカザワコーポレーションが自己破産しており、負債総額は6億6000万円となっている。

 値上げした鳥貴族は、想像以上に苦戦している。7月6日には、6月の既存店売上高が前年比9%減少であることを発表した。これで、前年割れは6カ月連続だ。居酒屋業界は、ただでさえ客離れが叫ばれるなか、人手不足による人員確保のための時給引き上げなども経営を圧迫する要因となっている。

「業界では改正酒税法による酒の販売への影響を懸念する声もあり、2017年度に加えて、改正酒税法が施行されてからの1年間(2017年6月~2018年5月)についても調査を行いました。同期間の酒類販売業者の倒産件数は前年同期比16.7%増の182 件です。改正酒税法と倒産の因果関係についてはっきりしたことは言えませんが、倒産が増えたのは事実です」(山口氏)

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