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「脱・紙」の日本製紙、経営に不安広まる…アマゾン効果で活況の製紙業界で一人負け

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日本製紙本社が入居する御茶ノ水ソラシティ(「Wikipedia」より/

 最近、日本株のアナリストと話をすると、日本製紙株式会社の先行きに不透明感があるとの見方をよく耳にする。その背景には、王子製紙などの業績が拡大しているのに対し、日本製紙の洋紙事業が低迷していることがある。

 アナリストの話を要約すると、これまで日本製紙は環境の変化にうまく対応できていないという見方が多いようだ。その一つが、ペーパーレス化がある。会議などで使う情報やグラフなどを紙に印刷して配布するのではなく、プロジェクターに投影したり、タブレット型のPCに資料を保存して閲覧することが増えてきた。新聞や雑誌の購読に関しても、「紙はかさばる」という理由からデジタル版のみを契約する人も多い。その一方、インターネット通販の普及から宅配用の段ボール需要は高まっている。王子製紙などはM&A(合併・買収)を駆使しつつ需要をうまく取り込んでいる。

 そうした状況下、日本製紙は従来の製紙事業とは異なる製品開発を進めているという。同社は、紙に関する技術を活かして新しい製品を開発し、それを今後の成長の源泉にしていこうとしている。プラスチック製ストローの使用が減少していることは、日本製紙にとって大きなチャンスとなるだろう。同社がどのようにしてプラスチック製品の代替としての紙需要を取り込むことができるか興味深い。

段ボールブームに乗りきれていない日本製紙


 現在、わが国の製紙業界は久方ぶりの好況を謳歌している。特に、段ボールに限ってみると空前のブームが到来しているといってもよい。その背景には、アマゾンなどのインターネット通販の普及に支えられて宅配用段ボール箱のための板紙需要が高まっていることがある。街行く貨物車両の荷台や物流センターには、荷物を納めた段ボールが高く積み上げられている。目下のところ、段ボール需要をいかに取り込むかが、わが国の製紙企業が国内で収益を獲得する重要なポイントだ。

 王子ホールディングス株式会社(王子製紙)に次いで売上高国内第2位の日本製紙は、このブームに乗り切れていない。2019年3月期の第1四半期決算を見ると、バイオマス発電などが収益を確保したものの、工場の減損が響き、最終損益は赤字だった。

 日本製紙の事業領域は、紙・板紙、生活関連、エネルギー、木材・建材などの5分野から成る。うち、紙・板紙事業は売上高の70%を占める。同社の洋紙と板紙の販売量を国内と海外に分けてみると、洋紙の国内販売数量は前年同期比でマイナスだった。洋紙輸出の販売数量は増加したが、国内での落ち込みを補うことはできていない。段ボールをはじめとする板紙事業を見ると、前年同期比ほぼ横ばいだった。一方、バイオマス発電などのエネルギー事業は売り上げの3%程度にすぎない。本業である紙・板紙事業の営業利益はいまだ赤字から脱していない。収益改善が喫緊の課題であることは明らかだ。

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