NEW
吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

ゾフルーザ、画期的インフルエンザ治療薬に懸念点

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「Getty Images」より

 早いもので、もう今年も残すところ2カ月を切った。冬はクリスマス、正月と楽しいイベントも多くあるが、その一方で私たちを戦々恐々とさせる「インフルエンザ」が猛威を振るう季節でもある。

 インフルエンザ罹患による重症化を防ぐため、インフルエンザワクチン摂取の推奨に力が注がれている昨今であるが、それでもインフルエンザの感染者数は減少しないのが現状だ。インフルエンザは、症状がつらいだけではなく、周囲の人への感染リスクも高いのが厄介な点である。今年はインフルエンザ治療薬として新薬「ゾフルーザ」が登場し、関心を集めている。

 そこで今回、ゾフルーザについて、桶川みらいクリニック院長の岡本宗史医師に話を聞くと共に、ゾフルーザの製造販売元である塩野義製薬(シオノギ製薬)に取材を試みた。

ゾフルーザのメカニズム

「従来の治療薬であるタミフルなどは、ノイラミニダーゼ阻害薬(増殖したウイルスを、その細胞の中に閉じ込めることによって拡散を抑制する薬)であるのに対して、ゾフルーザはエンドヌクレアーゼ酵素阻害薬(ウイルスの複製を抑制する薬)で、作用機序が異なります」(岡本医師)

 インフルエンザウイルスは、体内に入ると細胞から細胞へと拡散し、増殖を広げていくのだが、タミフル、リレンザ、イナビルなどの従来のインフルエンザ治療薬は、細胞内で増えたウイルスがほかの細胞へ拡散していくのを抑え、周りで増殖していくのを防ぐ。これに対しゾフルーザは、「ウイルスそのものの増殖を抑える」ため、より速やかな効果が期待される。

感染リスクを下げる

「公表されているデータによると、罹病期間の短縮はタミフルと同様だったようですが(成人対象)、抗ウイルス作用はタミフルを上回っており、感染ウイルス量の減少速度が速いことから、周囲への感染抑止効果も期待されると考えられます。しかし、あくまで実験データであり、現時点では実際の周囲への感染抑止については、比較データがありません。今までタミフルなどのノイラミニダーゼ阻害薬は感染後24時間経過してからの内服に意義はありませんでしたが、ウイルス量の体内での減少速度と周囲への感染率が相関するのであれば、ゾフルーザは発症から24時間以上経過したあとの内服にも意義を見いだせると考えます」(同)

 インフルエンザによる症状が終息するまでの期間はタミフルとほぼ同様だが、ウイルスそのものの増殖を抑えるゾフルーザは、周囲への感染リスクを下げることが期待できる点が大きい。しかし、その点は今後のデータによって評価されることになる。

メリットはその服用方法

「メリットとしては、圧倒的に服薬アドヒアランス(患者が納得して自らの意思で行動すること)の向上が大きく期待されることです。また、国内第3相試験では、成人・小児ともに副作用が低いのもメリット。現時点では、タミフルで問題となった異常行動は認められていないと、メーカーが公表しています。当院でも、高齢者の患者が多く、服用の負担軽減と先に述べたような効果に期待し、懸念事項を念頭に置きながらではありますが、ゾフルーザを処方しています」(同)

ゾフルーザ、画期的インフルエンザ治療薬に懸念点のページです。ビジネスジャーナルは、連載、インフルエンザシオノギ製薬ゾフルーザタミフルの最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

BJ おすすめ記事