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出光興産、経営を混乱させる創業家というガン…次男の社長就任を要求し経営統合を妨害

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 出光に残っているのは次男の正道氏のみ。千恵子夫人は高齢な昭介氏の目の黒いうちに次男の正道氏を社長にすることに執念を燃やした。だが、出光家への“大政奉還”を現経営陣がのめるはずもなく、妥協案が検討された。正道氏を新会社の常務取締役にする案を浜田弁護士が持ちかけた。昭介氏が「できれば、けんかにしたくない」と漏らした言葉に、浜田弁護士はそろそろ着地点と判断したようだ。

 ところが17年2月、浜田氏は突如、創業家の代理人を辞任した。あくまで正道氏の社長就任にこだわる千恵子夫人と衝突したことが代理人を辞めた理由と取り沙汰された。以後、千恵子=正道母子が出光家の主導権を握った。代理人に鶴間洋平弁護士が就任し、合併反対の立場を堅持した。

旧村上ファンドの村上世彰氏が出光昭介氏を説得

 18年に入り、事態が動いた。17年末から、創業家のアドバイザーとして旧村上ファンド代表で投資家の村上世彰氏が登場し、昭介氏を説得したことで流れが変わった。6月27日、合併に反対してきた鶴間弁護士が辞任。新たな代理人に久保原和也弁護士が就いた。

 7月10日、出光と昭和シェルは19年4月1日に経営統合すると発表した。会見で、出光と出光創業家が交わした合意書が公開された。

 合意書にサインした創業家側の名前は2つある。ひとつは、昭介氏と正和氏が代表取締役を務める日章興産。もうひとつが正和氏個人。持ち株比率は日章興産が13.04%、正和氏が1.16%。この合計14.2%が、出光経営陣側に付くことになった。

 合意した内容は、以下のとおり。

(1)昭和シェルとの株式交換に同意し、統合の可否を決議する臨時株主総会で賛成の議決権を行使する。
(2)出光が推薦する取締役5名のうち2名は創業家が推薦できること。
(3)出光による1200万株、550億円を上限とする自社株取得を公表すること。
(4)19年4月からの3カ年累計での最終利益目標5000億円のうち、50%以上を株主に還元すること。

 この合意に基づき、統合後の新会社の取締役(非常勤)に正和氏と社外取締役に創業家代理人の久保原弁護士が就くことになった。

 創業家が取締役に入る背景には、出光経営陣に対する不信がある。17年、出光は1200億円の公募増資に踏み切り、創業家の持株比率は33.92%から約26%に低下し、拒否権を失った。

 昭和シェルとの経営統合が正式に決まり、創業家の持株は20%程度に下がる見通し。出光が取得した自己株式の消却を求めたのは、創業家の持ち株比率を30%程度まで高める狙いがある。創業家側の2人の取締役は、合意が守られるかを監視することになる。

 一方、最後まで合併反対を唱えてきた正道氏は、新役員人事から外れた。創業家兄弟の意見が分かれるかたちで決着した。

 お家騒動の渦中にあった正道氏は出光を去り、出光興産の前身である「出光商会」の名で食品などの貿易会社を新たに立ち上げたという。
(文=編集部)

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