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スバル・ブランド“幻想”崩壊…不正のオンパレード、危険性把握しリコール忌避の疑惑

文=河村靖史/ジャーナリスト
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 これを受けてスバルは6月、燃費・排ガス測定検査を再調査すると発表した。同時に、当初予定していた役員人事を撤回、吉永氏はCEOと代表権を返上して取締役会長に退くことにした。

 スバルは、国土交通省からは1カ月後を目処に報告するよう求められていたが「徹底調査するのに時間がかかる」として報告の延期を要請。結果的に報告は9月28日にまでずれ込んだ。

 しかも調査では、温度や湿度エラーに関する測定結果の改ざんなどの燃費・排出ガス抜き取り検査の不正に加え、完成検査でのブレーキ検査、舵角検査、スピードメーター指針誤差の検査方法、サイドスリップ検査などで新たな不正が明らかになった。その一方、完成検査で新たな不正が見つかったものの「リコールするかは決めていない」と、多額のコストを要するリコールに後ろ向きな姿勢を示した。

 ところがスバルは約2週間後の10月11日、これら不正な完成検査を行っていた可能性のある「インプレッサ」や「レガシィ」など8車種、約6000台をリコールすることを国土交通省に届け出た。

「完成検査での不正が見つかったのにリコールしない方針と聞いた国土交通省が激怒したらしい」(全国紙記者)

 ただ、リコールの対象台数は17年12月29日までとした。これについてスバルでは「無資格者の完成検査問題に関する調査で、17年末までに適正な検査を行っていることを確認できたため」(スバル広報部)としていた。

 ところがこの説明もあっさり崩れる。国土交通省は10月16、17、22日にスバルに対して立ち入り検査を実施、ここで昨年末までに撤廃されたと説明していたブレーキなどでの不正検査が、最近まで継続されていたと複数の検査員が証言した。これを受けてスバルは結局、適正な検査工程を確認した今年10月26日までに生産した車両約10万台のリコールを11月8日に届け出た。

ユーザーを裏切る行為

 相次ぐ不正は業績にも暗い影を落としている。スバルは前期に無資格者による完成検査のリコール費用250億円を計上した。今回新たに見つかった完成検査の不正によるリコール費用は合計で69億円にのぼる。累計リコール台数は約53万台にもなる。相次ぐ不正でスバルブランドは毀損、国内販売は低迷しているが、さらに海外も含めて追い討ちをかけるような不具合も見つかった。

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