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中曽根陽子の教育最前線

「子どもの学力は親の学歴&年収で決まる」の“まやかし”…非認知能力と学力に相関関係

文=中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表
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 さらに、この調査研究のなかでは「特に困難を抱える」と思われる子どもたちのなかで学力が高い子どもたちを「resilience(レジリエンス:柔軟さ・回復力)」というワードを用いて「Resilient students」と定義し、Resilient studentsの持つ特徴についても以下の4つをあげている。

「子どもの学力は親の学歴&年収で決まる」の“まやかし”…非認知能力と学力に相関関係の画像4

 一つ目の「非認知スキル」とは、「忍耐力」「意欲」「協調性」「粘り強さ」「目標への情熱」などといった、数値で測ることができない能力をいう。最近は学力やIQなどの数値で測ることのできるスキルだけではなく、非認知スキルを子どもが幼いうちから身に付けさせることの重要性が世界的に注目されているが、この調査研究でも、非認知能力と学力には相関がみられた。

 非認知能力を高める親の関わりとしてもやはり、「毎日子どもに朝食を食べさせている」「子どものよいところをほめる等して自信を持たせるようにしている」「子どもに努力することの大切さを伝えている」「子どもに最後までやり抜くことの大切さを伝えている」「地域社会等でのボランティア活動等に参加するよう子どもに促している」の5項目があがっていて、子どもの好奇心を引き出したり、学習活動を促すような働きかけを積極的にしている家庭では学力が高いという結果が出ている。

 しかも、親の所得や学歴が相対的に低い場合でも、「非認知スキル」を高めることができれば、学力を一定程度押し上げる可能性があると論じている。これらの結果から、親の所得や学歴が高いから子どもの学力が高くなるのではなく、子どもの生活環境を整え、子どもとよく話をし、知的好奇心を刺激するような働きかけをすることが、非認知能力を高め、結果的に子どもの学力にも影響を与えるのだといえるのではないだろうか。

「父親の帰宅時間が遅いほうが子どもの学力が高い」は本当か?

 また、この調査では、保護者の帰宅時間と子どもの学力の関係、保護者の単身赴任と児童生徒の学力との関係も見ていて、一部報道では「父親の帰宅時間が遅いほうが子どもの学力が高い」「父親が単身赴任している家庭の子どもは学力が高い」と報じられ、父親不在のほうがいいのかと話題になった。

 しかしこれは、もっと深読みをする必要がある。確かに、父親の帰宅時間と子どもの学力について見ると、22 時以降(早朝帰宅を含む)という家庭の子どもの学力がもっとも高く、母親の帰宅時間については「就業していない」と「16 時より前」の家庭の子どもの学力が、相対的に高くなっている。

 これによって、父親不在のほうがいいと言うのは乱暴だ。父親に関しては、帰宅時間が遅いという層が所得や学歴が高い家庭である可能性もあるし、母親は、特に所得や学歴が高い家庭では「就業していない」の割合が高いので、相対的に所得の高い家庭だから学力が高かったという可能性は高い。

 あおり気味の情報を鵜呑みにするのではなく、この調査で浮き彫りになった、「子どもの学力が伸びる家庭でやっていること」をよく読んで、取り入れてみてはどうだろうか。
(文=中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表)

【参考】
保護者に対する調査の結果と学力等との関係の 専門的な分析に関する調査研究
個別指導塾スタンダードのお役立ち情報 中曽根陽子監修記事
年収アップが学力向上に関係するって本当!?全国学力テストの「保護者に対する調査」から見えてくるもの

●中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表  
教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『後悔しない中学受験』(晶文社出版)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)など著書多数。ビジネスジャーナルで「中曽根陽子の教育最前線」を連載中。
オフィシャルサイトhttp://www.waiwainet.com/

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