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親や夫・妻が突然、認知症に…仕事を辞めずにすむための“お金”マニュアル

文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会
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親や夫・妻が突然、認知症に…仕事を辞めずにすむための“お金”マニュアルの画像1「Getty Images」より

 高齢者やその家族がもっとも不安に思っているのは、その高齢者が“認知症になったらどうしよう”ということではないでしょうか。

 ひと昔前は、認知症になった人の話題や事件はあまり多くありませんでしたが、最近は認知症の人が起こす事件が増えています。85歳を過ぎると約半数の人が、90歳になると約60%の人が、認知症になるといわれています。平均寿命が82~83歳の頃は、ほとんどの人は認知症になる前に亡くなっていたので問題は生じませんでした。それが近年、寿命が伸び、平均寿命が90歳近くになったため、認知症を発症する人が増え、事件を起こすことが多くなりました。

 認知症になると、脳の神経細胞の変化や脱落により、体験したことを丸ごと忘れたり、判断力が低下し、忘れたことの自覚が無くなり日常生活に支障をきたすようになります。単に老化による物忘れとは異なる症状です。忘れることが多いため、同じものを買い込んだり、薬を飲み忘れたり、水を出しっ放しにしたり、ガスをつけっ放しにしたりと、放っておけない状況になります。

 認知症がほかの病気と異なる点として、ほかの病気では診断されてからだんだん症状が重くなり、手がかかるようになりますが、認知症の場合は認知症と診断される前後が一番元気に動き回るので、もっとも目が離せず、手がかかり、お金もかかることになります。だんだん手やお金がかかるようになる場合は準備をする時間がありますが、突然、手やお金がかかるようになると準備をする時間がないことになります。

 認知症になると、突然介護が必要になるので、見守る人も突然必要になります。働いている人は仕事を辞めるか、他人を雇う必要がでてきます。仕事を辞める人にとっては、収入が突然無くなることを意味します。また、他人を雇う場合は費用がかかるので、そのための資金が必要になります。

 介護保険があるといっても、介護保険でカバーできるのはごくわずかな時間だけです。週5日間、1日8時間程度です。介護保険は、介護をしている家族に“休む時間を与える”程度のサービスを提供するだけです。月曜日から金曜日の夜間は家族が面倒を見なければなりませんし、土日もほとんど家族が世話をしなければなりません。すべての見守りを介護保険でまかなうと莫大な費用がかかるため、平均的な収入の世帯にとっては、すべてを介護保険に頼ることはできません。

藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会

藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会

(立教大学ドイツ文学科)卒業後研究室で副手を1年務め結婚。女児2人を出産し、下の子が3歳になったときに(中央大学法学部)に学士入学。法律の面白さに惹かれ、卒業後も勉強を続ける。宅建とFP試験に合格(CFP、宅地建物取引士)。その直後夫の赴任に伴いアメリカに約8年居住。帰国後FPとして働き始める。講演、相談、執筆を行う。その間、簡易裁判所、家庭裁判所で調停委員、参与員、司法委員を定年まで勤める。
著書:「100歳まで安心して暮らす生活設計」(共著)、「どっちがお得?定年後のお金」(共著) ‘高齢期のお金を考える会’メンバー。高齢者施設を多数見学し、高齢者施設の種類、内容、注意点、選び方等を勉強する。

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