住宅ローンには団体信用生命保険(以下・団信)が付いています。ほとんどのローンでは団信に加入できないと融資を受けることができませんが、加入していれば借入後に万一のことがあったときには、その時点の残高相当額が金融機関に保険金として支払われて残高はゼロになります。大黒柱(収入の担い手)が亡くなるのは悲しいことですが、家族のもとには、ローン支払いのいらないマイホームが残されるのです。
でも、がんなどの大病を患ったとしても、亡くなったり、高度障害に陥らない限り、原則的に保険金は出ません。闘病しながら住宅ローンの返済額が続きます。そこで大切になるのが、がん保険の特約を付けておくということです。
特約に入っていれば死亡しなくても残高ゼロに
住宅ローンの団信には、がんなどの特定の疾病を対象とする特約があります。のちに詳しく触れるように、その対象や条件などはさまざまですが、がんが対象となっている特約であれば、がんと診断されたときにローン残高相当分の保険金が金融機関に支払われて、ローン残高がゼロになります。
通常の団信だけだと、名義人が死亡するか高度障害に陥った場合でなければ保険金は支払われませんから、がんと闘いながら住宅ローンの返済を続けなければなりません。それまで通りの仕事を続けることはできないでしょうし、医療費負担はが高額になりますから、これはたいへんな事態です。
でも、がん特約が付いていれば、がんになったときには生死にかかわらずローン残高がゼロになるのです。住宅ローンのことは忘れて、がんに向かうことができます。
がんは死病ではなく助かる病気になっている
一昔前まではがんは死病といわれてきましたが、最近では健康診断の普及による早期発見、医療技術の向上などによって生存率が急速に高まっています。
図表1にあるように、男性の場合には前立腺がんの5年相対生存率は97.5%とほとんどの人が助かるようになっています。皮膚がんも9割を超えています。現在でも、膵臓がんのように5年相対生存率が7.9%と1割以下にとどまっている部位ケースもありますが、多くは5割を超えています。
女性をみても、図表2にあるように甲状腺がん、皮膚がん、乳房がんは5年相対生存率が9割を超えています。女性も膵臓がんはやはり5年相対生存率7.5%とかなり厳しい数字になっていますが、それでも多くは6割を超えています。