全がんの5年相対生存率は62.1%に向上しています。男女別では男性が59.1%で、女性が66.0%です。つまり、がんにかかっても6割以上は助かる時代に変わっているのです。
全国民の6割にがんにかかる可能性が
ここまで生存率が高まってくれば、その後のことをしっかりと考えておく必要があります。助かったといっても、それまで通りには働くことはできなくなるかもしれませんし、少なくとも手術や放射線治療などを受けている間は入院しなければなりません。
自分は病気ひとつしたことがないし、家系的にもがんで亡くなった人はいないから大丈夫――などとはいっていられません。何しろ日本人で生涯の間にがんにかかる確率は男性で62%、女性で47%といわれています。男性のほうががんにかかりやすいので、住宅ローン返済の中心であり、一家の大黒柱でもある男性は十分に注意しておく必要があります。住宅ローンを組む以上、禁煙は当たり前で、飲酒も控え目にしてジョギングやウォーキング、フィットネスジム通いなどにつとめて健康に心がけていただきたいものです。
それでも、万一ということがありますから、考えておきたいのが住宅ローンの団信にがん特約を付けておくということです。
ほとんどの住宅ローンにがん特約がある
国土交通省の『平成29年度民間住宅ローンの実態に関する調査』によると、金融機関の81.1%が「疾病保障付き」の住宅ローンを実施しています。この疾病のなかには、まず間違いなくがんが含まれています。ほとんどの金融機関で住宅ローンの団信特約としてがん保険があるといっていいでしょう。ただ、内容は金融機関によってかなり異なります。
もともと、10年ほど前にがん、脳卒中、心筋梗塞の3大疾病を対象に3大疾病特約としてスタートしました。それが、やがて糖尿病などの生活習慣病を加えた7大疾病、8大疾病に保障範囲が広がっていきました。
現在も図表3にあるようにみずほ銀行などの大手銀行はこうした7大疾病、8大疾病を対象とする特約が中心で、保険料は通常の住宅ローン金利に0.2%~0.3%程度上乗せすることになっています。
ただ、当然のことながら保障範囲が広がれば保険料が高くなりますから、イオン銀行のように対象をがんだけに絞って金利の上乗せを0.10%と抑えているところもあります。さらに、じぶん銀行ではがんによる保険金支払いをローン残高の半分だけにして、保険料を無料としているケースもあります。