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「ムーミンバレーパーク」があまりに“がっかり&うんざり”…駅から30分、別料金の嵐

文=鶉野珠子/清談社
「ムーミンバレーパーク」があまりに“がっかり&うんざり”…駅から30分、別料金の嵐の画像1ムーミンバレーパークの看板

「日本にムーミンのテーマパークが誕生する」というニュースが出たのは2013年のこと。それから6年、ついに今年の3月16日、かねて開業が待ちわびられていた「ムーミンバレーパーク」が埼玉県飯能市にオープンした。

 同パークは「ムーミンの物語を追体験できる場所」とうたわれ、体験型アトラクションやインタラクティブな体感展示スペース、ムーミンにまつわるグルメなど、五感を使ってムーミンの世界を満喫することができるという。

 しかし、開園初日に大勢の人で賑わうムーミンバレーパークを訪れて感じたのは、なんともいいがたい物足りなさだった。

自然を優先した立地が微妙すぎる?

 ムーミンのライセンスに関する事業を総合的に行うライツ・アンド・ブランズによれば、ムーミンは世界市場規模で6億ユーロを超える人気キャラクターであり、日本はそのうち46%を占めているという。

 日本におけるムーミンは、なつかしアニメのキャラクターとして根強い人気を保ってきたが、11年以降は原作者のトーベ・ヤンソンによる“エバーグリーンな文学・アート作品”というポジショニングを強化させ、大人の女性を中心に関連商品の売り上げを伸ばしている。そんな日本に、本場フィンランドを除けば世界初となるムーミンのテーマパークができるのは、当然といえば当然だろう。

 ムーミンバレーパークは、埼玉県飯能市に昨年11月にオープンした「メッツァ」という複合施設の中にある。メッツァは、北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァヴィレッジ」(入場無料)とムーミンの物語を主題としたテーマパーク「ムーミンバレーパーク」(有料)という2つのエリアから構成されており、フィンテック グローバルという企業が運営している。

 敷地面積は隣接する宮沢湖を除くと23.6万平方メートル、うちムーミンバレーパークは7.3万平方メートルと3分の1程度しかない。ちなみに、ムーミンバレーパーク自体の運営はムーミン物語という企業が担当しており、原作者の想いを念頭に置いたサービス提供を心がけているそうだ。両施設合わせての総事業費は150億円で、年間の入場者数は100万人あまりを見込んでいるという。

“北欧を思わせる自然豊かな”メッツァは、西武池袋線の飯能駅、またはJR八高線の東飯能駅が最寄りで、各駅から15分程度バスに揺られてようやく到着となる。さらに、ムーミンバレーパークはメッツァヴィレッジを抜けた先にあるため、メッツァに到着してから15分ほど歩かないといけない。

 都心から各最寄り駅までは、西武池袋線の特急号を使っても1時間以上はかかってしまう。クルマのほうがアクセスしやすいかもしれないが、駐車場料金は土日祝で2500円、さらに事前にネット予約が必要だ。予約なしの場合は30分ごとに500円かかるという。そうした点を考えても、交通利便性の高い施設とはいえないだろう。

アトラクションもショーも物足りない

 パークに到着したのは、開園から1時間半が経過した11時30分頃。園内スタッフによると、朝は入場待ちで長蛇の列ができていたというが、待つことなくすんなり入園できた。チケットは事前にネットで購入でき、スマートフォンの画面がチケットになるため、大変手軽だ。

 チケット代は中学生以上が1500円、4歳以上が1000円とリーズナブルだが、交通費や駐車場代がかさむ上に、目玉である体験型アトラクションはどれもチケット代とは別に利用料金がかかる。飲食物などもテーマパーク価格のため、1日遊べば1万円近くはかかってしまうだろう。

 さらに、これらのアトラクションは開園初日ということもあってか、筆者が入園した頃にはチケットがほぼ売り切れで、残っているのは閉園間近の時間帯の利用券のみだった。楽しみにしていたパークのシンボル「ムーミン屋敷」も、入るためには「ムーミン屋敷ガイドツアー」(1000円)が必要なので、泣く泣く断念することに。

「ムーミンバレーパーク」があまりに“がっかり&うんざり”…駅から30分、別料金の嵐の画像2ムーミン屋敷

 ムーミン屋敷やその他のアトラクションにも乗れないとなると、残りは「コケムス」というエリアで常時開催されている展示くらいしか見どころがない。着ぐるみのムーミンたちと触れ合えるキャラクターグリーティングはスタッフによるゲストの整列などもないのでどうしたらいいのかわからず、食事をしようにもレストランは整理券式で、この日は4時間半も待つことになるという。

 なんとか潜り込んだキャラクターショーは屋外のステージで行われるため、照明や特殊効果はなく、簡素な演出という印象を受けた。ファミリー向けだと割り切ったとしても、デパートの屋上レベルのショーではムーミンの物語の良さを表現しきれていないように感じてしまった。

 意外と良かったのは、頼みの綱のコケムスだ。コケムスとはフィンランド語で「体験」という意味で、その名の通りムーミンの物語の中に入り込んだかのような体験型展示や、物語やキャラクターの詳細な解説があり、マニアにはたまらないものとなっている。逆にいえば、ムーミンのキャラクターしか知らず、アニメや本をあまり見たことがない層にはまったく響かないだろう。

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 大自然との共存を押し出したことでアクセスがしづらい場所にあり、遠出したわりにはアトラクションもキャラクターの催し物もつくり込みが足りないように感じたムーミンバレーパーク。とはいえ、展示だけは本当に見ごたえたっぷりだったので、「テーマパーク」というよりも「ミュージアム」ととらえれば、行ってみる価値はある。ただし、行きも帰りも滞在中も、「埼玉にいる」という現実を実感することばかりなので、“北欧っぽさ”だけは期待しないほうがいいだろう。
(文=鶉野珠子/清談社)

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せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
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